その感情は、紛れもない証
- ★★★ Excellent!!!
自分の良さも、なりたい自分もわからず、焦燥感を募らせる汐里。風鈴工房の娘である彼女は、友達の莉沙が風鈴作りに来たのをきっかけに、いつからか避けていた工房に足を踏み入れる。
読み始めてまず、文章がすごく美しいなと思いました。整っている・表現の仕方が素敵という意味でもあるのですが、何よりも心に染み込んでくる感覚的なものが美しかったです。それは文章の端正さや的確な言葉選びがもたらすものでもあると思うのですが、汐里の中でぐるぐるとしている感情や、彼女の心や五感を通した「彼女に見えている世界」が読者にも共有されていたからだと思います。
各シーンでの描写は五感だけでなく、現実感・生活感も伴っていて素晴らしかったです。特に工房での体験のシーンでは、描写の詳細さに驚きました。工房の様子や体験の工程に加え、職人の技術や精神まで伝わってきて、私もその場に立ち、体験に加わっているような気持ちになりました。
なぜ風鈴なのか。なぜ睡蓮なのか。
というのを、私はここで欠片でも語ってしまいたくありません。
この作品においては、描かれていた事に対してのあらゆる感想が「ネタバレ」に繋がってしまうと私は考えます。なので、ここには一切の感想を書くことができないのですが、そのくらい丁寧に、ひとつひとつの描写に意味が込められていました。
この作品の持つメッセージを、そして美しさを。未読の方にはぜひ、実際に読んで感じ取っていただきたいです!
本当に素晴らしい作品でした!
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