好きな人を死者蘇生できた瞬間、救いではなく“暴走”が始まるという導入が強烈。喪失に耐えきれず、蘇生という禁忌に手を伸ばした陰陽師の男が、喜びと絶望のあいだで足を踏み外していく過程は痛々しくも目が離せない。兄息子×弟、故兄、兄擬き×弟という複雑な関係性が物語の温度をさらに歪ませ、愛と執着の境界が曖昧になっていく。蘇生の成功が“終わり”ではなく、むしろ新たな喪失を突きつけるという構図が鮮烈で、読後に妙な余韻が残る一作。