まず語り口が抜群に上手い。「転生したら○○だった」の空欄を埋めあぐねる独白から始まり、祖父の今際の際に出生の秘密・不倫・国家の災厄を一息にぶちまけられて主人公が処理落ちする——この第1話の温度設定で、もうこの作品の呼吸が分かります。深刻な設定を深刻に扱わず、しかし決して茶化しきらない。この匙加減が最後まで崩れません。
秀逸なのは「田舎の神童=都会に出ればただの人」という自己認識を、主人公自身に最後まで手放させないところ。実技試験では機材トラブルで独り取り残され、打ち上げの輪にも入れず、本人はしょんぼり帰路につく。その裏で職員会議が彼の数値に絶句している。この非対称が徹底されているので、テンプレの「実は最強」が嫌味にならず、むしろ気持ちよく笑えます。
そして中盤、物語はきちんと痛みを描きます。魔剣を打つという主人公の得意分野が、そのまま人間関係を傷つける刃になる。「出来ると思い込んでいたのは、俺が人間付き合いを嘗めていたからだ」という一行に辿り着くために、あの軽快なコメディが積まれていたのだと分かる構成です。
魔剣鍛冶という題材、クセの強い同級生七人、学部代表という重荷。素材の配置が的確で、伸びしろしか見えません。笑いから入って、いつのまにか人間ドラマで殴られたい方へ。