やさしいのに、どこか近づきすぎてはいけない世界
- ★★★ Excellent!!!
読み終わったあと、ふつうの「きれいなお話でした」で片付けるのがもったいない感覚が残りました。薔薇を貴婦人として描いているのに、ただの擬人化じゃなくて、ちゃんと“距離のある存在”として保たれているのが不思議で印象的です。名前もどこか現実と夢の境目を揺らすようで、ちょっとした違和感が心地いいんですよね。
読んでいる間、香りとか風の温度まで感じるのに、触れようとすると消えてしまいそうな儚さがずっとついてくる。このバランス感覚、なかなか真似できないと思いました。派手な展開はないのに、静かに心に残るタイプの作品なので、ふと疲れたときに開くと、少し違う世界に連れていってくれると思います。