あのー、こちらの作品ね 笑。
もう大好物なわけですから、ぜひ読んでほしいのと。
ネタバレとかそういう物語ではないので解説付きでレビューさせていただきますね。
なんてことはない。
散歩の話です。
それ以上でもそれ以下でもないわけですが、その散歩っていうテーマだけで、ここまで不条理というかキュビズムというか……
ふくらし粉よろしく話を大きく、そして『さもありなん』な方向に持って行けるのがこの花野井先生の特技ですよね。
これほんと……真似したくてもできないんですよね。
じゃあその散歩の話がなぜそこまで大きくできるのか。
それは設定が特殊だからですね。
主人公は、『三歩歩いたら全てを忘れる』というハンデを背負っています。
まあ、ニワトリですかね。
でも本人はニワトリではないというし鳥ですらないと言い張るので、違うのでしょう。じゃあなんなんだ!! というのは各々の想像力に任されます。
シンプルに言えば、
そんな主人公が、散歩をしてみたくなったという話なわけです。
どのレベルで3歩歩いたら忘れるかというと、
『布団を敷こうと布団を引っ張り出して記憶が消えてしまったら、積み重なった布団がいつか大気圏を突破する』ほどなのだそうです。
そんな奴が散歩は無理!! と言って仕舞えば簡単なのですがね。
それでも散歩に出ないといけない理由があるのだそうです。
それは、何かのチラシで読んだのかなー……
「散歩をすれば、頭が良くなり自信がついて成績が上がって恋人ができた!」
みたいなチラシだかレビューだかを主人公は読んでしまったがために不条理が始まってしまうんですよ 笑
手に入らないものを、欲しがる。
こんな人間的なテーマを、どう料理するかで物語って決まると思うわけですが、
ここで王道な異世界転生モノを書く人もいれば、
人類の禁忌に触れるホラーを書く人もいれば、なわけですが、
花野井先生の場合は、ちゃんと不条理の沼に突入してくれます。
わかりやすくいうとね、
……いやわかりやすくというか、この物語の教訓は、「目的を見失ってはいけない」だと思うんですよね。
主人公は、自信を持ちたい。上司に褒められたい。モテたい。
→そのために散歩をすることに固執する。
これのせいで色々とおかしなことが起きてしまうのですよね。
おかしなことの書き方はもうそりゃあ、抜群ですよ。
スケールが違いすぎる。
ですから、読みながらこう思いましょう。
「違う。そうじゃない……」
この人間でないのに妙に人間臭い主人公の喜悲劇。
是非、ご一読を。