民と為政者の溝は埋まらないのかもしれない。
民は目前の日々の生活の苦しさに、いつ終わるか分からない重税に苦しんでいた。
当然だ。
民には、日々の暮らしが全て。
明日を乗り切れるか。貧困にあえぐのなら、ぎりぎりの生活を憂うなら、その不満は、時の為政者へと向けられる。
だが、その為政者は考えていた。
争うから人は戦場で死ぬのだ。
争うのは、幾つもの国に別れているからだ。
ならば世界を統一してしまえば良い。
さすれば、軍事にかかる金も減り、死者も減り、国民も何れは豊かになる。
民よりは少し長いスパンだったが、求めていたものは民を思ってのものだとも言えよう。
主人公の⬛️。(作中、名前は最後近くで明かされるまではこれで通している)
前者である⬛️さんは、孤児であり、教会育ち。
彼女は、閉鎖がきまった教会を憂い、そんな重税を強いる王がいるから苦しむのならばと、王の暗殺を企んだ。
彼女なら出来た。
と、ある能力を持っていたから。ある種の異常者であったから。
しかし、会ってしまった王は、唯一自分の理解者たり得る器を持ち、
壮大な夢を語ってみせた。
理解してしまった⬛️さんは、自身の能力を持って、王の壮大な夢を叶えることにした。
そして始まる王と⬛️さんの快進撃。
しかし、本作は作者様の『彼女に捧げる鎮魂歌』の前日譚でもある。
その作品のラストに繋がるということは、⬛️さんは?
もちろん、『彼女に捧げる鎮魂歌』が未読でも充分楽しめると思います。
王と⬛️さんと⬛️さんの良き理解者であり、親友のルディミアとの奇妙な戦略。
その鮮やかな手腕をお楽しみあれ。
そして、王と⬛️さんの切なくも熱いラブロマンス(コメディ?)もお忘れなく。
全ての糸が一本に繋がった時、今はまだ作者さまの頭の中にある続きが
読みたくてたまらなくなります。
不思議な力を持つ少女■(名前は伏せられています)は、思い描いた脚本を現実にすることができます。
その力で親友の願いを叶えました。
自分は主人公にできない、魔法など現実を超える設定は不可、タイトルに沿った内容にしか進めないなど、制約はあります。
この脚本の能力が彼女の魅力と思いきや、そうではありませんでした。
精神性において、ある種の「異常者」でもある彼女は、ある計画を思いつきます。
そして、物語は思わぬ方向へ⋯⋯😳!
なるほど!と、ミステリーの種明かしのような要素もあり、実に多くの仕掛けがあり、楽しく読むことができるでしょう♪
是非ご一読をお勧めします✨️
両親の死を前にしても涙を流せない少女の描写が静かで深く、序盤から強烈な引力を持っていました。
彼女の“欠落”が恐れとして積み重なっていく過程が丁寧で、読者に自然と共感と不安を抱かせます。
脚本を書けば現実が動くという異能の設定は独創的で、しかも発動条件が「信じてもらうこと」という点が物語に奥行きを与えていました。
ルディミアとの掛け合いは軽妙で、重いテーマの中に心地よい温度差を作り、二人の関係性がとても魅力的です。
最後に教会閉鎖の知らせが落ちてくる構成が見事で、彼女の世界がまた揺らぎ始める予兆として、続きへの期待が一気に高まりました。
孤児として教会で暮らしていた少女、■。
彼女は可憐で聡明で、誰かのために動ける優しさを持ちながら、どこか常人とは違う感覚を抱えています。
教会の閉鎖をきっかけに、彼女が考え始めるのは自分の将来ではありません。
――この国は、このままで大丈夫なのか。
――民を苦しめる王は、本当に王であるべきなのか。
そして彼女は、あまりにも自然に「王の排除」という結論へ辿り着いてしまう。
この主人公の危うさが、まず非常に面白いです。
善良なのに物騒で、冷静なのに飛躍している。
誰かを救いたいという気持ちも本物。けれど、そのための手段があまりにも危険。
しかし、暗殺対象であるはずの王もまた、ただの暗愚ではないことが見えてきます。
この王がまた、魅力的。
世界征服という途方もない夢。
その裏にある喪失と後悔。
そして、死を悲しめない者同士が出会ってしまう瞬間になにを想うのか。
危うく、物騒で、それでいて妙に目が離せない物語です。
おすすめです!