心に一つ、言葉を。

浄土真宗の教えを、極端に叩き潰して解釈すると、
「そのものが何者だろうと、『南無阿弥陀仏』と唱え続けていれば、過去は清算され、罪は許され、極楽浄土に向かうことが出来るのだ」と、寺の坊主が申しておりました。

人間だけでなく、生き物というものは読んで字の如し生きている以上、逝く日が来るのであり、それがいつのことか分からない。
であるから、人は心に、少なくとも生きている時間を後悔したり、辛い思いをしないように『唱え言葉』が必要ということですな。



マクラが長くなりました。
どこかの国、今ここに一人の貴族がまさに旅逝かんとしています。
妻に看取られながら。

死にゆく夫に、まだ告げていない秘密がありました。


今日の今日まで言い出せずに、この日を迎えてしまうことになりました。


……夫の方にも秘密がありました。
その上で、彼は冷たい病の床で静かに微笑むのです。




これは、人が人を愛する『理屈』が語られている物語にございますが、
そんな壮大な物語をこの文字数でよく書き上げたと賞賛したくなります。

濃厚な短編。
是非、ご一読を。
















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