ショートストーリー『仁義なきあん抗争』

麻井祐人

ショートストーリー『仁義なきあん抗争』

高校の昼休みの教室。


「粒あんが好きだな」


「えっ!こしあんでしょ」


「俺は粒あん派」


「俺はこしあん派」


その一言から始まった論争は、

やがて意地と意地のぶつかり合いとなり―― 


「粒あんの、あのつぶつぶを潰す感触が分からんか?」


「こしあんの滑らかさが分からんのか?」


「粒あああああーーん」


「こしあああああーーん」


やがて、クラス中で殴り合いの喧嘩へと発展した。


机は倒れ、椅子は宙を舞い、教室は戦場と化した。



駆けつけた担任により喧嘩は鎮圧された。


担任「原因はなんだ?」


生徒「……あんこです。粒あん派か、こしあん派か」


担任は深くため息をつき、

「粒あんでも、こしあんでも変わらんだろう」とさとした。



――そして、次の日の昼休みの教室で。


「おれはそば派だな」


「おれはうどん派だ」


「そばだろ」


「うどんでしょ」


ガタンッ!!


「やんのかゴラッ」


「やってやるよ!!」


二度目の戦争が、クラス中であっけなく勃発する。


再び殴り合いの喧嘩が始まった。


その様子を廊下から眺めていた校長先生が、ぽつりと一言。


「……青春だなぁ」


そこへ担任が駆けつける。


担任「校長先生、止めてください」


校長「このぐらい発散させないとね。まだまだ子供なんですよ」


担任「しかし校長」


校長「ちなみに私はそば派ですけどね」


担任「いやいや、校長うどんでしょ」


――沈黙。


ふたりの目は血走っていた



担任「やんのかゴラッ」


校長「望むところです」


ドンッ!! 廊下で、まさかの殴り合いが始まった。


その光景に気づいた生徒たちは、ぴたりと動きを止める。


そして一人が、冷めた声で言った。



「……やめなよ、大人げない。どっちでもいいでしょ」 





 あとがき


筆者は実際、高校時代に、

粒あん派かこしあん派かで喧嘩になりかけたことがあります。


そばとうどんでも同じで、

今はどちらも好きです。


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ショートストーリー『仁義なきあん抗争』 麻井祐人 @rhmkutrfghki0oo

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