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悲しみの絶対零度

悲しみの絶対零度

楠本ラリアット

おすすめレビュー

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★★★
★15
5人が評価しました
本文あり
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本文ありのおすすめレビュー

  • 小野塚 
    2003件の
    レビューを投稿
    ★★★ Excellent!!!

    祈るが如くに切り分け、凍結す

    圧倒的な物語である。

    銀色に刺す冬の雨は一向に降り止まず、
    調理台の上に上がる赤鱏の、今まさに
    解体される冷たい肉。一度も抱き上げる事の
    出来なかった 嬰児 の記憶が

     甦ってくる。

    存在しない 過去 は、手慣れた手順で
    解体されて完全なる 無 へと固定されて
    ゆく。その、生々しくも静謐なる過程は
    一体、何を齎すのだろう。

    次から次へと腑分けされて行く冷たい肉の
    感触は、いつしか記憶の波間へと。
    大海原の底へと流されて行く。

       冷たい水の記憶。

    夢かうつつか。

    みるみるうちに凍りついて結晶化する。
     完全なる 無 への旅立ち。
    哀しみは凍結して世界を覆う。


      厳かに、静かに霞んでゆく世界の果て。

    • 2026年4月9日 21:12