人が外に見せている姿と、その奥に抱えているものは、必ずしも同じではない。そんな当たり前のようで、普段は見落としがちなことを、静かに突きつけてくる作品でした。
読み始めは、日常の会話や学校の空気がやわらかく描かれていて、登場人物たちの距離感も自然です。だからこそ、少しずつ見えてくる違和感が胸に残ります。大きな事件を派手に見せるのではなく、何気ない言葉や反応の積み重ねで、心の奥にある痛みを浮かび上がらせていくところが印象的でした。
主人公のふるまいは、周囲から見ればきっと分かりやすく、好ましく見えるものなのだと思います。でも読み進めるほど、その姿だけでは届かない場所があるのだと分かってきます。誰かを見ているつもりでも、本当に見えているとは限らない。その苦さが、作品全体に残ります。
続編で視点が変わることで、物語の痛みはさらに深くなります。一方だけの苦しさではなく、気づけなかった側の悔いも描かれることで、読後に残る感情が単純なものではなくなっていました。
人に合わせすぎてしまう人、周りから「大丈夫そう」と見られがちな人、誰かの本音に気づけなかった経験がある人に読んでほしい作品です。読み終えたあと、近くにいる誰かの表情を、もう一度見つめ直したくなる物語でした。
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