1話
「
お店の人にラッピングしてもらったそれを、俺は幼馴染みに渡す。バイトを頑張って買った物だ。
「ありがとう。でも、これ私なんかに……」
「似合うって。うん? これ似合うって表現で合ってる? まぁ、これ使ってくれたら嬉しいなー」
「うーん、その内ね?」
*
毎年あげている誕生日プレゼント。しかし、そのプレゼントを使ったか判らないまま、由利はいなくなった。
いなくなったのに気付いたのは、りんご味の飴玉しか口に出来ないくらい辛い風邪で寝込んでいる時に由利の両親が家に来た時だ。
俺のお母さんの声と、慌ただしい叫び声。その声が玄関から聞こえ、何事かと辛い体を無理矢理動かして二階の部屋からそこへ向かう。すると
「うるま君! 由利が何処に行ったか知らないかい⁉︎」
「いないの! 由利が何処にも……何処にも!」
階段を降りる途中、由利の両親は俺と目が合った瞬間にそう訊ねて来る。
泣き崩れながら。
それが二日前の出来事。警察に行方不明届を出したらしいが、進展はまだない。俺もスマホで連絡を取ろうとしたが、由利の返信はなく未読のまま。
「俺が休んでる間に、何があった?」
「二日酔いの担任がゲロ吐いて、この教室が地獄になった」
「どうでもいい。由利の事だよ」
俺はスマホを凝視したまま、隣の
静かに、けれども苛立たしい声音で言う俺に、上江洲は冷静に「ああ」とノートに文字を書く手を止める。
「四組の赤道さんが、
「また、あの女か」
もうすぐ朝のホームルームが始まる時間だが、そんな事は関係ないと席を立ち赤道(俺の嫌いな女)の所へと歩き出す。
その際
「誰も由利を助けなかったのかよ」
腹立たしさをぶつけるように、引き戸の扉をバン! と鳴らして教室を後にした。舌打ちも我慢せず。
「
四組の教室に入り、窓際一番後ろの席で数人の女子と談笑していたそいつの前に立つと笑みを浮かべて挨拶される。
他の奴等が可愛いと口にする顔で。
俺にはその顔の何が良いんだ? と理解出来ない表情で。
由利を苛めて、何の悪気もない顔(汚い表情)で。
「お前に言ってほしいのは挨拶じゃねー。由利がいなくなったの、お前のせいか?」
「あっそ。それより、メイク変えたんだけど、あたし可愛い? 可愛いよね?」
「お前の顔に興味ない。由利は何処にいるかって訊いてんだよ」
俺の質問には答えず、自分の話を優先する赤道。そんな無駄話はいらない。由利の居場所を知っているなら言えと俺は軽く机を叩く。
「そんなの……」
赤道が口を開こうとした刹那、ホームルームの鐘がなってこのクラス担任の若い男性教諭がやって来る。「向。自分のクラス戻れ」と。
「すいません先生。まだ、こいつとの話終わってないんで」
「え? まだ話あるの? もしかしてあたしに告白? あたしが好きなら……」
「は? 嫌いだけど? 俺、由利が好きって前に言ったよな?」
「……」
遮って事実を述べると、赤道は口を開けたまま声を止める。息も停止させているかのように。
その固まったままの赤道にもう一度訊く。
「由利がいなくなったの、お前のせいか?」
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