ひろいほうが、いいもんね
- ★★★ Excellent!!!
日常の延長線上に潜む、生理的な恐怖を描いた秀逸な怪異譚です。物語は、あまり親しくなかった同期・潮田に誘われた潮干狩りから始まります。
視覚と味覚、そして聴覚を刺激する不穏な演出。春の海、遠浅の砂の冷たさ、そして「ヤドカリ(寄居虫)」というこの漢字の不気味さ……。
同僚の不自然なほどの饒舌さと、地元民との不可解なやり取り。それら全ての伏線が、一気に回収されていく展開にはザワザワと鳥肌が立ちました。
「かむな様」という古語を織り交ぜた土着信仰的な不気味さと、人体……そうか。われわれもガランドウではないか。
「ヤドカリが新しい殻を見つけた時、中身はどうなるのか」
私はこれまでヤドカリは味噌汁を食べたことがあるので海産物としか思っておらず、ガワとナカ。ああああ!痒くなってきた!!
淡々とした潮田の狂気が、静かに景色を塗り潰していくのが何故か心地いい……。
嗚呼、かむな様……。