世界が終わると言うのに、二人はうんざりするくらいにいつも通りだ。世界が終わるその瞬間も、ただ手を握っていればいい。これまでは過去と化し、これからはもう存在しない。それでも、二人ならそれが悲劇とも思わない。終末に、ただ君といる。その息遣い、とても尊い。
三年前、とつぜん夜空にあらわれたほうき星。それが明日、地球を終わらせる。 春の宵。いつも通りの、いつも通りでいたい幼なじみ二人の最後の夜。 日常の尊さが、しっとり深くしみる物語。
伊坂幸太郎の「終末のフール」という作品がある。あれは8年後に隕石が地球に突入すると発表されてから5年後という設定だった。その5年人間は何をしてきたか、そのフール(バカ)さ加減がいい味を出していたと思う。この作品はそんな悠長なことは言っていられない。彗星が到着するのが明日。それでも平穏な日常が流れていく。ただ君と一緒にいたい、エアロスミスがここで出てくるか……。翌日も平穏な二人の時間が流れ……「彗星の約束」が果たされる。その結果は誰も知らないが、きっと心は平穏なんだろうと思う。