スクールカーストトップの美少女が嘘告白してきたけど、ひんぬー教だから無理って断ったらムキになってきたので貧乳の良さを力説したら泣かれた。
頑張って寄せて少しでも大きく見せようとしてるひんぬーが尊いのである。
スクールカーストトップの美少女が嘘告白してきたけど、ひんぬー教だから無理って断ったらムキになってきたので貧乳の良さを力説したら泣かれた。
久高なごむ
頑張って寄せて少しでも大きく見せようとしてるひんぬーが尊いのである。
貧乳、ひんぬー、ちっぱい、まな板、洗濯板、絶壁、ぺったんこ。
バカな
そして胸が大きいことに興奮する。
たしかに谷間というのは魅力的だと認めよう。
しかし、我々ひんぬー教はひんぬーからしか得られない栄養素がある。
ゆえに、巨乳ではダメなのだ。
「わたしと付き合わせてあげるわ。喜びなさい」
「……はい?」
放課後、手を引かれて人気のない場所に連れ込まれた。
相手はスクールカーストトップの望月桃香。
誰もが羨む美少女。
高飛車でプライドが高く、ご自慢の胸はかなりのものをお持ちである。
アメリカ人の父と日本人の母親のハーフということもあり、天然の金髪は長くとても綺麗だ。
目元の泣きぼくろはとてもセクシーであり、男ならこんな美少女を彼女にしたいとほとんどの男がそう思うであろう美少女。
「なに? 罰ゲームかなにか?」
「わたしみたいな美少女から告白されるだけでも名誉だと思うわよ? あんたみたいな冴えない男ならなおさらね」
これを告白と受け取るのは頭の中お花畑じゃないと無理だろう。
意味わからんし。
「いや、俺は望月さんと付き合いたいと思わないんだが」
「はぁ? なんでよ? このわたしが付き合ってあげてもいいって言ってるのよ? バカなの?」
なんだこいつビッチか? まあビッチっぽい見た目してるしな。ビッチだな。うん。ビッチと心の中で呼ぼう。そう思ったけど確定しましたねはい。
「好みじゃない」
「全然意味わかんないんだけど?」
苛立ち始めている望月にこちらもうんざりしていた。
確かに望月は美少女だ。
好みじゃなくてもそう思えるくらいには誰が見ても美少女。たぶん図鑑に美少女の欄があったら望月が載っててもおかしくないくらいには美少女。確かにそう。
だがしかし、女だ。女の子ではない。
「俺、胸が小さい子が好きだから無理」
「なに? あんたロリコンなわけ? きもっ」
「ロリコンではない。ロリコンとひんぬー教は違う」
「なにそれまじきもい」
やっぱりこいつ絶対俺のこと好きじゃないだろ。
態度がおかしいもん。
腕を組んで胸を張ってその巨乳を見せつける望月の今の姿は告白ではなくカツアゲとかいじめとかの主犯にしか見えん。
そしてカツアゲされてるように見えるのが俺である。
「わたしのなにが不満なわけ?」
「胸」
「死ね」
「罵倒される意味がわからん。聞かれたからこたえただけなのに」
「気に入らないのよ。なんでわたしがあんたに拒否られなきゃいけないわけ?」
「胸が大きいから」
「だからまじ意味わかんないんだけど?」
ダメだこいつ。話が通じない。
これほど無意味で話が噛み合わない会話も珍しいだろう。
「望月では萌えない。可愛げがない。顔とスタイルと、おっぱいと態度がデカイだけの女。だから無理」
「なっ?! …………」
こんなのと付き合っても楽しくないだろう。
女の子らしくない。可愛げがない。
俺を奴隷にでもしたいのだろうか?
おっぱいの奴隷になんてなりたくない。
「いいか望月さん? お前は女の子じゃなくて女なんだよ」
「……意味わかんない。同じでしょ?」
こいつ、意味わかんないボットなのか?
望月の挨拶だったりするのか?
意味わかんないんだけどおはようとか言われたらさすがに納得するけど。なんだこいつっては思う。
やっぱり俺も意味わかんないや。
「望月さんはモテるだろ? 可愛いしスタイル良いし胸も大きい」
「そ、そうよ? 悪い?」
「いや、それ自体はべつに俺にとってはどうでもいい」
「ど、どうでもいい? わたしのことなんだと思ってるのよ?! バカにしてんの?!」
「栄養素が全部胸にいってるんだろうなとは思ってる」
「なっ?! ……」
望月のこれまでの人生はイージーモードだったのだろう。
自分の存在に自信を持って、なんの躊躇もなく胸を張って生きれる人生だったのだろう。
ゆえにつまらない。
「お前のおっぱいには葛藤がない。だからダメだ。つまらん」
「ほんっと意味わかんない。なんでダメなのよ……。みんながわたしを羨ましがるし、それが当たり前なのよ。わたしのなにがダメなの? やっぱり、バカにしてるだけなんでしょ?!」
「バカにしてるのはお前だろ。みんながみんなそうじゃない」
スクールカースト的には、俺と望月では釣り合いが取れていないだろう。
俺はイケメンでもないし、高身長でもない。
だがそこはどうでもいい。
劣等感を感じているわけではない。
「望月さんは海に行ったら、自信満々で水着姿を見せられるだろう?」
「当たり前よ。夏の海は女の戦場よ」
「だから無理なんだよ。可愛げがない」
「可愛げがないってさっきから言うけど、わたしは可愛いわ。みんながそう言うし、わたしもそう思ってる」
ああ……帰りたい。全然話終わんないし。
まだこの会話続くのかよ……。
「俺は貧乳を気にしてる女の子に萌えるんだよ。恥ずかしいからってパーカーとか着たりしてる女の子が好きなの。わかる? 恋する乙女が頑張って選んだ水着を恥ずかしそうに着て葛藤する女の子が好きなんだよ。お前にはそれが全く感じられない。というか想像できない。おっぱい振り回してるだけじゃん」
「ほんときもい。セクハラじゃん」
「うん。だからさっきからずっとその申し出を断ってる。早く帰りたいし」
無駄なこの時間を早く終わらせたい。
でもプライドの高い望月は納得できない。だからこの話を終わらせるには、どちらかが折れるしかない。
だがひんぬー教として、折れるわけにはいかない。
「……初めてよ……」
「なにが?」
下を向いて小さな拳を握り締める望月。
プルプルと小刻みに震えている。
どうやら怒らせてしまったようだ。
「わたしをここまでバカにした男はあんたが初めてだって言ってんのッ!!」
半泣きになってそう訴えてきた望月。
外見だけを褒められて生きてきたのだろう。
それしか見てもらえてなかったのだろう。
そう思うと可哀想ではある。
だからこんなにつまらない女になってしまった。
バカなやつらに群がられて、バカになってしまった哀れな奴。
だから可愛げがない。形の良い肉でしかない。
出来のいい女体であって、乙女の葛藤とか女の子らしさとか、そういう萌えが感じられないのだ。
「わたしだってッ!! わかってるわよ!! みんなわたしの顔とかスタイルとかしか褒めてくれないことくらいッ! ……でも、それが悪いことなの? なんで、ダメなのよ……」
最後は力なく崩れ落ちながら呟いた望月。
周りの奴らに振り回されて、持ち上げられて、それがアイデンティティになってしまった。
たぶん、望月は悪くない。周りの奴らがバカだっただけ。
誰も望月のことをちゃんと見てなかったというだけの話。
「望月さんはさ、人を好きになったことないの?」
「……ないわよ」
崩れ落ちて
だけど床に水滴が落ちていくのが見えた。
望月のプライドをへし折ってしまったのは認めるが、まさか泣くほどとは思ってなかった。
ちょっとだけ申し訳ないなぁと思う。けど、俺には関係ない。
「じゃあ俺はもう帰るから」
友だちでもないし、好きな女の子でもない。
泣かせてしまったのは申し訳ないなとは思うけど、さっきのが告白だとしたら、こうなることもやはり考えておくべきだとは思う。
俺みたいなスクールカーストの下にいるような奴が何を偉そうにって思われるかもしれないけど、しょうがないだろう。
カレーが好きな人がいれば嫌いな人もいる。
万人に好かれる人は存在しない。
外見だけしか取り柄がないなら尚更だろう。
「……待って……」
微かに聞こえてきた望月の小さな声。
まだ終わらないのかと嫌になりながらも振り向いた。
「なに? …………ッ?!」
立ち上がった望月は鼻を啜りながらも俺の手を握ってきた。
くしゃくしゃになりながら、それでも精一杯の何かを感じた。
どうしようもなく可愛いと思ってしまった。
「……わたしと、付き合ってください。お試しでもいいから……」
「……でも……」
なんでそうなる?
今さっき傷付けたばかりなのに。
勘弁して欲しい。イキッてすみませんでしたなので手を離してください。
そういえば丸く収まるだろうか。
何が正解だろうか?
正しい答えはそもそもあるのか?
「わたし、あなたなら本当に好きになれるかもしれないって、思ったの。だから、あなたのこともっと知りたい……から」
切実な表情だった。
嘘か本当かは知らないしわからない。
でもとても綺麗な泣き顔だと思った。
くしゃくしゃだけど、女の子だと思えた。
「でも好みじゃないからやっぱり無理」
「え…………」
鳩が豆鉄砲食らったみたいな顔をした望月。
いやだって仕方ないじゃん。俺、ひんぬー教だし。
てかさっきからそう言ってるわけだし。
「じゃあ、これで」
「ま、待って!! わたし、あなたが好きになるような女の子になるから! だからっ!! ……」
なんでまだ食い下がるの?
他にいい男いるだろ。俺じゃなくていいはずだ。
というか俺は本来選べる立場じゃない。
なのになんでそうなる? 逆に困るしここまで来るとちょっと怖い。
「…………お試しで、良いなら、まあ」
「ほんとに?」
「うん。でも早く諦めてね?」
なんで立場逆転してるんだろう……。
美少女に縋られるようなスクールカーストに俺はいないはずなのに。
何が望月をそうさせるのか理解できん。
だってどう考えてもおかしいよね? おかしいよ。
「絶対わたしのこと、好きにさせるから」
「……そうですか」
なんかスッキリした清々しい顔でそう宣言されてしまった。
「じゃあ、お試しですがよろしく」
「うんっ! じゃあ一緒に帰ろ? あと連絡先教えて? てかこの後おしゃべりしたい」
「ええ……推しの生配信見たいんだけど……」
「わたしがあなたの最推しになるから大丈夫っ!!」
折れたのは俺だった。
こうして望月とのお試し交際が始まった。
けどほんと、なんでこうなった……?
果たして俺はひんぬー教を卒業することになるのだろうか?
いや、ないな。うん。とりあえず望月が飽きるまでの辛抱だ。そう思うことにしよう。
しかし望月は隣で子どもみたいに楽しそうに笑っていた。
スクールカーストトップの美少女が嘘告白してきたけど、ひんぬー教だから無理って断ったらムキになってきたので貧乳の良さを力説したら泣かれた。 久高なごむ @rx6
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