妻は子どもがほしいと思っているけれど、夫は不妊治療に自分が参加するのは沽券に関わると思っており少し冷めている。
妻のことはどちらかと言えば好きだけれど、井戸を覗いてはならない、という家の言い伝えを真面目に守っている彼女をバカらしいと思い、彼は井戸を覗き込む──。
絶ッッ対、同じ目に遇いたくないと心底思えるホラーでした。
井戸はホラーでも度々登場しますが、この井戸は普通に怖い上に、生理的にも戦慄するので、
「ぎゃああっ」ってなりました。無理だ。
強烈インパクトホラーです。
連綿と続いている地域の伝統らしいのがまた怖い。
旧家にある井戸は「女井戸」と呼ばれ、女たちを癒やした。けれども決して中を覗かないという決まりがあった。
旧家の一人娘、絢水は、その見た目の端正さに惚れ込んで婿を迎えた。
しかし婿は浮気性で、絢水の子どもがほしいと言う願いにも不誠実だった。
ある月のある夜、婿は井戸を覗き込む。
そこにあったのは――
淫靡で乱れて美しくも恐ろしい。
そんな感想を持ちました。
描写がとても美しく、特に婿の描写は、とても色香のある端正な男性なのだと印象的でした。
一度よんでから、二度読みすると、母や絢水の言っている言葉も違って聞こえてくる。
淫靡で上質なホラー作品でした。
お題の使い方もお見事です。
オススメします。ぜひ…!!
旧家の裏庭には「女井戸(めいど)」と呼ばれる井戸があった。
それは女の病を治し、女に我が子を授けるのだと伝えられていた。
その家の一人娘・絢水は、婿養子で浮気性の夫との間に娘を欲していた。
夫は、どちらかと言うと、子がないほうが面倒がなくていいという不誠実さ。
そんなある日、夫が禁忌を破り井戸を覗き見るのだが……。
土着ホラーです。ものすごい怪異がでます。驚愕の淫靡さです。このような存在を生み出す猫小路葵さんの想像力すごいと思います。
この怪異が恐ろしいのは、「種さえあればいいのだ」というある種の事実を突きつけてくるところですね。根源的な恐怖を醸し出します。
そして、最後に明かされる真実にはさらなる恐怖を味わいました。
驚愕のラストをお見逃しなく。
古い家に伝わる井戸と、それを信じて生きる人々。
物語はどこまでも穏やかで、どこか懐かしさすら感じさせる空気の中で進んでいく。
しかし、その“当たり前”の描写が丁寧であればあるほど、違和感は静かに蓄積していく。
特別なことは起きていないはずなのに、何かが確実におかしい――そんな感覚が、じわじわと読者を包み込む。
本作の魅力は、恐怖を直接見せるのではなく、「触れてはいけないものがある」という空気そのものを描いている点にある。
禁忌の存在、信仰の形、そして人の願い。
それらが交差したとき、物語は一気に異質なものへと変わる。
読み終えた後、ふとした瞬間に思い出してしまう。
あの静けさの奥にあった“何か”を。
派手さはない。だが確実に残る。
そんな、余韻で刺してくる上質な怪談だった。
旧家の一人娘が見目麗しい男を婿に迎えた。
古くから地域に根差した 女の為の井戸 を
守る家系で、代々女たちが管理を引き継ぐ。
井戸の水は女の病を治すという。けれども
決して井戸の中を覗いてはならないとも
戒められている。
そんな特権階級でもある女系家族に男は
打算で婿に入るが、裏では密かに他の女と
逢っている。妻は夫との間に子供を望むが、
男にその気など全くなかった。
或る晩、月の光に照らされた井戸の底を
つい、覗いてしまった男は…。
まさに女郎蜘蛛か蟻地獄か。
井戸の底に、男は一体何を見たのか。
それは確かに禁忌ではあるが、本当に
それ だけ なのか。
世にも恐ろしい物語は、今も其処彼処に。