眠たげで気怠いのに、任務となれば鋭く状況を見抜いていく特務官イリス。
そして、人懐っこく柔らかな雰囲気をまといながら、観察眼と実力を隠し持つノア。
序盤から、この二人のバディ感がとても魅力的です。
違法種族転化という不穏な事件を軸に、帝国魔導特務局、暗務局、異端審問教会、皇帝派と教会派など、組織や世界観がしっかり作り込まれていて、読み進めるほどに物語の奥行きが見えてきます。
特に、イリスがノアを警戒しながらも少しずつ評価を変えていく距離感が楽しいです。
ノアもただ明るいだけではなく、気配の消し方や死体への手慣れた対応など、随所に「普通ではない」一面が滲んでいて、今後の関係性が気になります。
魔導、事件捜査、組織もの、そして癖のあるバディが好きな方におすすめしたい作品です。
何と緊張感があって独特な空気感なのだろう。緻密な設定や掛け合いに脱帽したくなる作品であった。
魔法が科学に似た形に収斂した世界。陰謀と禁忌が渦巻く不穏な帝都に、女科学者のイリスと諜報員のノアが挑んでいく所謂バディものたる本作なのだが、マジでどっちもイカれてる。『才能』という言葉に異常な拒否本能を持つイリスに、お人好しで人懐っこいけど、時折戦闘狂でマッドな一面が覗くノア。街なかで解剖を始めたり、敵地で才能という言葉について激論をかわし始めたりと二人がツッコミ役不在のシリアスでイカれたストーリーを醸し出してくれる。
ダークで不穏、そして陰謀マシマシ。じっくりと読んでみたくなる一作だ。