本作が扱ってきたテーマを振り返りつつ、人類の叡智と愚かさを対比する語り口が非常に深みを持っており、読者に強い思索を促す序文でした。
宇宙人の視点という外部からの風刺を挟むことで、地球文明の矛盾や未熟さが鮮やかに浮かび上がり、作品全体の哲学的な基調がより明確になっています。
科学技術の飛躍的発展と、人間社会の倫理的停滞を並列させる構成は説得力があり、歴史的エピソードの引用も読み応えを高めていました。
また、ユーモアを交えながらも核心を突く語りが心地よく、シリーズ全体の“アホ文学”としての軽妙さと“哲学書”としての深さが見事に両立しています。
最後に次作への期待を自然に繋げる締め方も巧みで、シリーズの掉尾を飾る作品への興味が一層高まる序章でした。
法と音楽、そして不条理。
一見すると結びつかなさそうな要素が、青山翠雲さんらしい勢いと知的な遊び心で、ひとつの物語として転がっていく作品でした。
また、無音の文章と音で何者かを表現する音楽とを結びつけようとする試みの中でどう文章にすればよいか試行されたことが感じられる作品でもあります。
「星巡るアホ舟」という変なタイトルで、作者さんがもう好き勝手に書いてるやんっと思ってしまう作品ですが、気づけば妙に深い場所まで連れていかれる感覚もあります。
軽妙な語り口の中に、社会や人間へのまなざしが混ざっていて、ただのギャグでは終わらないところが魅力です。
ネタばれになるので詳しくは書けませんが、法と音楽というテーマの扱い方が印象的で余韻の残る一作です。
相変わらず、この作者の世界は壮大です。
『星巡るアホ舟 カクヨム事件簿』シリーズは五編にわたります。
本シリーズは文学史に残る著名な作品へのオマージュをもって、哲学的な提起が練り込まれています。
各篇は一見、ふざけているようで、底本である作品の核心をずらさない。
これが作者の妙技であって、その知才に唸るしかないのです。
作者が筆を休めた間にアップデートしたものを咀嚼し、その内から噴気する思弁と情熱に圧倒されました。
(注:私は上品に育てられたはずですから、作者のユーモアを情熱といっておきます)
眠っていた巨人の目覚めを祝して、新たなる活躍を期待しています。
以下に連作のURLもつけておきます。どうぞ、ご堪能あれ。
『星巡るアホ舟 カクヨム事件簿』シリーズ
1 星巡るアホ舟 カクヨム事件簿1 流星に願いを
https://kakuyomu.jp/works/2912051595387766783
2 星巡るアホ舟 カクヨム事件簿2 星雲の希望
https://kakuyomu.jp/works/2912051595684704050
3 星巡るアホ舟 カクヨム事件簿3 星爆の果てに
https://kakuyomu.jp/works/2912051595870344098
4 星巡るアホ舟 カクヨム事件簿4 風の丘のヒルシカ
https://kakuyomu.jp/works/2912051595870807664
毎度毎度同じ紹介ですみませんが、カクヨム文芸界の奇才(としか言いようがない)、青山翠雲氏の最新作は、同氏が近頃一生懸命書かれていた「星巡るアホ舟」シリーズの第5作で、今回でシリーズ完結となっております。
シリーズを通じて、法(今回は公益通報者保護法でした。とてもよく勉強されているのが伝わって参りました)や、文学史など、深いテーマが貫かれておりましたが、今回のテーマは、ずばり世界平和! 翠雲氏がこのところ憂いてやまない、井戸の中で水を奪い合うような昨今の世情の混乱を、作中の翠雲氏が明快な頭脳と、あっと驚く奇策で見事に解決するというお話です。
いや、しかしすげー、ほんとにすげーよ、これw
よくまあ、次から次へとこのテンションでギャグ小説を書き続けられるものです。これはもうゾーンに入った翠雲氏の才能が爆発しておりますね。だってこの量のギャグ小説を2週間隔くらいで続けて5つ出したんですよ?
マカ〇ニほうれん荘の、鴨川つ〇めさんは「3年だけギャグの神様が舞い降りた」とおっしゃって、確かに同書は10巻で枯れてしまったのですが、翠雲さんは汲めど尽きせぬアイデアの源泉をお持ちのようで、まだまだいけそうな雰囲気です。それはおそらく膨大なインプットに支えられた情報と思想の蓄積にもあるのだと思います。が、何度も言うように、発揮の方向がヘン!! 今回、ますますヘンな方向へ行っていますw
本シリーズも今回で完結。翠雲さんの考えた平和への道筋をたどるため、ヒルシカ、如月美麗、ジャベール、ジャン=筋肉ジャーン、ショーンKなど、シリーズのオールスターズ総出演。豪華版のクライマックスですね!
もちろん、いつものように、深い教養に基づいたためになるお話もあり、華やかなオールスターの競演も相まって、満足感ばつぐんのシリーズフィナーレ編となっております。
本作で、翠雲氏がノーベル平和賞&文学賞を受賞されたのも納得の良作。
是非お手に取ってみて下さい。