笑って、震えて、また読みたくなる噺

 最初は「なんだか可笑しな噺だなぁ」と笑いながら読んでいたのに、気づいたら背中がひやっとしていて、「あれ、これってこんなに怖い話でしたっけ?」と自分に問いかけてしまいました。今竹松さんの語りが軽やかだからこそ、その奥にある情念の重さが余計に際立つんですね。

 佐藤のどこか飄々とした感じと、怪異との距離感も絶妙で、「人ならざるものの方がまだ話が通じるのかも…」なんて思ってしまったり。逆に、人の執着の方がよほど怖いのでは、とじわじわ沁みてきました。

 笑いと怪異がこんなにも自然に同居するなんて少し不思議で、でも読後には「もう一席、聞きたいな」と思わせてくれる余韻があります。気軽に読めるのに、しっかり怖くて、ちゃんと心に残る。そんな一作でした。

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