軽妙な語り口調で紡がれていくこちらの作品。
怪談噺の形をとりながらも、語られるのは男女の妙でございました。
単なる、平凡な、それどころか「ちょっと臭い」とか
言われてしまうような男の体にふとできたのは、
何とも美しい人面瘡。
しかもこれ、大変流暢……というには、かなりきつめに喋るのです。
そこから語られるのはまさかの縁。
そしてその縁が、あれよあれよとこの世に繋がり
驚くような世界へと繋がってまいります。
怪談と思って聞き進めていると
ほろりと涙が流れることも……
昨今のフェイクでホラーな動画ばかり見ているそこの貴方。
是非とも一度お読みなさいな。
恐ろしくも美しい、魅せられるとはこういうことかと
誰もが頷く作品でございます。
佐藤の腹に、とても美しい〝デキモノ〟が出来た。
ここから始まるのは、奇妙な縁の物語。
落語の語りで綴られた、二世に渡る因縁譚。
腹のデキモノは病院の診断では特に心配するものではないとの事。
だが、そのデキモノは喋ったのだ。
つまりデキモノは人面疽だった。
そして、女性だった。
彼女が語るのは、佐藤との前世の因縁の顛末。
はてさて、この後の佐藤はどうなるのか。
はたまた、その人面疽はどうするつもりなのか。
物語の結末で、読者は積み重なった罪の結末をも見ることになるだろう。
笑いと悲しみと怒りと恐怖が、ここにはある。
喜怒哀楽を揺さぶる奇怪な痴情の縺れは、驚天動地の娯楽作品ともなり、必見必至な因果の果てを見せるだろう。
乞う、ご期待である!
惚れた腫れたは当座のうち。よく申したものです。
人の恋心の寿命は下手すりゃ腫れ物が出来てから跡形なく消えるまでよりも短いもんで、世間を見渡せば、あれだけ愛した女が、あれだけ愛した男が、そんな愚痴を言っては別れる男と女ばかりでございまして。
死んでも男に恋する女。しかも別嬪さん。いいじゃありませんか。そう言いたいところですが、死んだ後に会いに来るというのは可笑しな話です。
近頃世間に流行る「悪役令嬢」とかではございません。気立ても綺麗なのですよ。醜い女は見たくないと目を瞑らないでいてもらえませんか。ただ、長い時間に相手を想い続ければ、気を病むのが人というものでして……
そこのモテないお兄さん。えっ、お怒りですか。図星を突かれ……失礼いたしました、事実と違うからお怒りですよね。一時の時間を貸してもらえませんか。モテる男の災難をお聞かせしますから。
幻想的な純文学作品お得意の遠部右京さんの最新作。
今回は、てやん亭(でい)今竹松(こんちくしょう)の語る、小噺になります。
物語は、とにかく地味な主人公佐藤のお腹にできた出来物が、次第に顔に、しかも美女になっていく、というところからスタート。ある時、出来物が話を始めたので、驚いて聞いてみると、「私は前世にあんたに惚れていた遊女さ」ということです。
佐藤は皮膚科の鈴木医師のところに行って診察を受けると、鈴木が意外なことを言い出します。。
これはよい作品でした。ホラーも笑いも涙も、全てをバランスよく兼ね備えている。 純文学が書ける人は、人の心を揺らせる人だから、笑いも涙も取れるんですよね。
すったもんだの展開の中、読者ははははと笑い、グスっと泣かされ、最後は、ざまあでサゲもすっきり。
コンテストのホラー部門に出されるんでしょうか。
きっと健闘すると思いますよ。
これはお勧めです。
これは凄く楽しいホラー。そしてどこか切なさもある恋愛ストーリーでもあるというのがまた満足感が高いです。
主人公の佐藤は、ある日に自分の腹に「人面瘡」が出来てしまったことに気づく。
女の顔が浮き上がり、やがては言葉を発するようになり……
シチュエーションを考えると中々に不気味な状況ですが、落語調の軽快なテンポで進むので、どこか飄々としたおかしみがあるのがまた面白いです。
話を聞くと、どうやら人面瘡は前世で佐藤の恋人だったという。だが、佐藤のせいで非業の死を遂げ、そのどうしようもない鬱憤を晴らしたいと言い出すという。
前世で縁のあったという別嬪さん。冴えない中年となっている佐藤との奇妙な同居(?)生活が始まりそうな雰囲気に。
でも、そこからの思わぬ「出会い」を通してまた事態が一変。
人面瘡のお江戸な口調が楽しいし、佐藤のちょっととぼけているのだけれど、なんか一本筋の通った男気のある感じも楽しい。
前世での恋人同士だったらしい「奇妙な縁」が見えてくる温かみと、人間と人面瘡がやり取りしていく「関係性」の数奇さ。
とにかく個性たっぷり、情緒たっぷり、意外性たっぷりと、一気に引き込まれてぐいぐいと読み進めることになりました。
ここにしかない「不思議なラブストーリー(?)」、オススメです!!!