魔法殺しの陰陽師 ~陰陽術で魔法を無効化できるので、平和を求めて悪人相手に無双します~
純クロン@『努力家な転生第六王子』発売中
第1話 転生
仕事の休憩時間にスマホを触ると、嫌なニュースばかりが目につく。
『世界情勢、危機的状況! 戦争まであとわずか!』
『物価上昇は危険域に!』
『日本の防衛は大丈夫なのか? 徹底解説!』
『政府、徴兵令を検討か? 理想では国は守れず!』
現実が辛い。
世界情勢が凄まじいことになり、いつまで平和に生きてられるか分からない。
真面目に働いている身からすると本当に勘弁して欲しい。
簡単な話じゃないことは分かっているが、全ての国が戦いを止めれば平和になるのにな。
俺はまだ二十四歳だ。人生は長いのにどうなるんだろう。
将来のことばかり考えてストレスが溜まっていく。
しかも不安のせいで不眠症だ。
流石に三日ほど寝れてなかったのはマズかったようだ。
身体がフラついて床に倒れてしまった。
耳鳴りと共に視界が暗くなっていき、身体の感覚がなくて動けない。
――死。
頭によぎったのはその単語だった。
周囲の同僚が駆け寄って来る声が、すごく遠くから聞こえて来るようだ。
……あー、平和な世界だったらよかったのにな。
◇ ◇ ◇
俺は異世界にアムル・セーメイとして転生し、セーメイ男爵家の長男として平和に暮らしていた。
この世界は中世くらいの文明のため、日本ほど安全ではない。
だがセーメイ領の属するアンタリア王国は、百年以上も戦争がない平和な国だ。
なので精神的安定は前世よりも今の方がいい。
平和が一番だよ、平和が。
おかげで転生してからはちゃんと寝れるようになっていた。
――つい半年前までは。
「アムルよ。もはやアンタリア王国は混乱の極みにあり、各地で紛争が勃発している。このセーメイ領も間違いなく巻き込まれるだろう。私が戦場で散った場合、お前が嫡男として領主になると明言する」
朝、屋敷の食堂で宣告を受けてしまった。
俺の父であるボルグ・セーメイが辛そうに顔をしかめている。
「いちおう告げておくぞ。陛下が謀反で殺されてからアンタリア王国は混迷を極めている。王の統制がなくなったことで、各貴族が好き放題に土地を奪い始めた」
父は忌々し気に呟く。
俺の平穏は消え去ったのだ。アンタリア王国は戦国時代となってしまった。
「アムルよ。お前は争いが嫌いであったな。だがそんなことを言っている状況ではない。攻められたらお前も戦ってもらう。セーメイ家父祖伝来の領地はどんな犠牲を払っても守らねばならぬ。死ぬ覚悟をしておけ」
父は椅子から立ち上がり、食堂から出て行った。
戦う、死ぬ……どうしてこうなったんだ!
俺は平和に生きたかっただけなのに! なんで戦争が追いかけてくるんだよ!
「なんで戦争なんてあるんだよ……戦いたい奴だけで戦っておけよ……! ゴミクズどもがっ!」
力ない言葉が誰もいない食堂に響いた。
俺は死にたくないから剣の鍛錬はしてきて、そこらの奴よりは強い自信がある。
でも多少強かろうが戦争では無意味だ。
複数に囲まれたら勝ち目なんてない。
そもそもこの世界には魔法があるのだ。
魔法使いは巨大な炎の球を放ったり、雷撃によって大勢の兵士を消し去る。
言うなれば大砲のような存在で、ひとりの魔法使いが兵士百人分で戦力計算されるほどだ。
とても剣で対抗できるような相手ではない。
怒りに身を任せてテーブルを叩きつけようとして、以前に壊した経験があるので思いとどまった。
すると父上がなぜか戻って来る。
「アムルよ。我がセーメイ家には嫡男が入るしきたりの部屋がある。お前も知っているな?」
「は、はい」
嫡男しか入れない書物部屋があると聞いたことがある。
その部屋には変わった造りの小さな鳥小屋だけがあるらしい。
部屋の中に小さな鳥小屋とはどういうことなのだろうか。
室内で小鳥を飼うなんてこの世界では聞いたこともない。
「謎の鳥小屋しかない部屋だが、セーメイ家の始祖からのしきたりでな。次期領主に決定した者は入るのが決まりだ。今日中に入っておけ」
「はい」
貴族には謎のしきたりがあるからな。
何気なく頷いて俺は部屋へと向かったのだが。
「えっ?」
俺は部屋に入って思わず声をあげてしまう。
部屋にあったのは鳥小屋ではない。和風の神棚が存在した。
古い家にありそうな小さな神棚だ。
神社によくあるギザギザの雷みたいな紙も垂れているから、俺の勘違いでは決してないはず。
なんとなく神聖な雰囲気も感じるが、これは俺が元日本人だからかもしれない。
神棚を知らない者からすれば、鳥小屋と勘違いするだろう。
――なんで日本の神棚が異世界にあるんだ?
『来たか。私と同じ地を祖とする者よ』
知らない声が部屋に響く。
神棚の扉が急に開いた瞬間、俺の目の前には綺麗な女性が立っていた。
黄金のように綺麗な金髪を腰まで伸ばし、思わず見惚れてしまうほどの美人だ。
年齢は二十歳ほどだろうか。自信に満ち溢れたように笑っている。
だが黄金の髪に対して服装は和風であった。
着物に近い恰好で、言ってしまうと陰陽師が着ている服だ。確か名前は
西洋風の美人が陰陽師の服を着ているのだが、妙に似合っている気がする。
いやなんで陰陽師の恰好をした女性がこんなところに?
『我が名は安倍晴明。君の先祖であり、セーメイ家の始祖だ』
……はい?
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今日はあと2話投稿します( ・ิω・ิ)
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