怖いだけでなく、深く考えさせられる文学的な側面もある作品でした。
本作は、体験型ホラーイベントの企画などをしている、駄菓子という人物に密着取材をした様子が描かれた物語です。
彼はホラーシーカーという仕事をしているらしいです。
なにそれ、と疑問に思ったことでしょう。
ホラーシーカーとは、日常のごくありふれた物や現象が見方を変えれば恐怖を感じる対象になることを人々に気づかせ、それをホラーコンテンツとして楽しんでもらう、という仕事らしいです。
まあ、こう言われてもよくわからないですよね、作中では具体例も挙げられているので、気になった方は実際に読んでみることをおすすめします。
さて、このホラーシーカーという職業を知ってあなたはどう思いましたか?
ぶっちゃけ私はなんかうさんくさいなーと思ってしまいました。同じような感想を抱く人が多いんじゃないかと思います。
実際、作中でこの駄菓子さんを怪しいと疑う人物が出てきます。
その方は桑島さんという人なのですが、彼から話を聞いていくと、駄菓子さんについていろいろ闇が深そうな情報が出てきます。
いったい、駄菓子さんはどういう人物なのか、ただ面白いホラーコンテンツを人々に提供したいだけなのか、それとも……。
真相は是非あなたの目で確かめてみてほしいです。
アーティストの密着取材から、事態は思わぬ方向へ……
ホラー関連のアーティストをしている「駄菓子」なる人物。彼は「今までにないタイプのホラー」として、通常の人が「怖い」と感じないものに「恐怖」を見出すというアートな活動を続けている。
でも、そんな怖くもなんともない「前衛芸術」となり果てている彼のホラーには、なぜか大勢のファンが詰めかけるという事態に。
かつての彼の作品を愛好していた桑島は、現在の彼の作風を嫌い「やらせ」が行われているのではないかと疑う。
そして、桑島が踏み込んでいった先には……
なんでもないものに「ホラー」を見出し、「これぞ新しい恐怖」と示してみせる感覚。これは「新しい美」というもので常人には理解できないものをアートと提示して一般人を遠ざけまくった20世紀芸術の雰囲気がぷんぷんしてきます。
そんな「アーティストの失敗あるある」な話から始まったかと思いきや、事態は思わぬ闇の世界へ。
その転調・変調ぶりが強烈に読者の心を揺さぶり、「一体何が待ち受けているのか」というざわざわとした感覚を味わわせてくれます。
果たして、ホラーアーティストの駄菓子の裏には一体が何が。その世界の真実を、是非とも見届けて頂きたいです。