異世界道中記〜いくら丼から始まるいくら丼による世界救世教!?

みなと劉

第1話 三人の冒険者と伝説の料理


 夕陽が地平線に沈みかけるギルドホールで、三人の冒険者が一枚の古い羊皮紙を囲んでいた。


 「本当にあるのか? その『いくら丼』とやらが」


 剣士のガレンが疑わしげに眉をひそめる。彼の隣で、魔法使いのリナが興味深そうに羊皮紙を覗き込んだ。


 「古い文献によると、異世界の果てにある国【ナンミョウ】には、海の珍味【いくら】を使った不思議な料理があるらしいわ。丼という器に、小さなオレンジ色の宝石のような食べ物を盛り付けるの」


 盗賊のクロエが地図を指差す。


 「ここがナンミョウか。確かに遠いな。少なくとも数か月の旅になりそうだ」


 ガレンは溜息をついた。


 「数か月もかけて、得体の知れない料理を食いに行くのか? 正気とは思えん」


 しかしリナの目は輝いていた。


 「でも考えてみて。もしその料理に特別な力があったら? 古代魔法の秘密が隠されているかもしれないわ」


 クロエも頷く。


 「それに、誰も見たことのない土地には、必ず財宝が眠っているものだ」


 三人は顔を見合わせた。それぞれ異なる動機ながら、心は同じ方向を向いていた。


 「よし、決めた」


 ガレンが立ち上がる。


 「明日の朝一番に出発だ。【いくら丼】とやらを見つけに行こう」


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