モブゼロ
山田空
生徒会長×副生徒会長
第1話 モブと好感度0のヒロイン
俺はモブだ。
その事に気がついたのは中学の夏休み
俺の好きだった女の子が俺をこういったこと
「ごめん誰だっけ?」
その日俺は知った。
俺はこの世界でモブであると
そして時間は流れ俺が高校生のとき突如世界は止まった。
俺と言うモブを残して
俺は時間を進める方法を探していた。
それでもわからない。
裸でグラウンドを走っても2階から飛び降りてもどんなことをしても時間が流れることはなかった。
このまま時間が流れて寿命が付き変死体として見つかるのではなんていう変な考えを持ってしまった。
それぐらい俺はこの時間の流れに取り残された喪失感が辛かった。
そんなとき出会ったのは黒髪でボブの有り体にいってしまえば俺と同じモブのような少女だった。
その出会いは俺が学校の廊下で絶望な状況にショックを受け膝から崩れ落ちていたとき少女からこういわれた。
「無駄ですよ人の気持ちを動かそうとしない限りは」
「へえ………いやなんでそんなん知ってんの?」
「いいませんよ知ってますか?乙女って秘密がたくさんある方が美しく見れるんですよ」
「まあわかったよそれじゃあ俺好感度を上げてくるはどうやればいいのかわからんけど」
「それは無理です」
「なんでだよ」
「だってあなたに向けるヒロインたちへの好感度メーター0ですし」
0ですしといったその言葉が何度も突き刺さる。
「マジで!?」
俺が少女の肩に手を置き驚きで強く掴む。
それでも少女の表情は動かない。
まるでデフォルメされたモブのように
「はいマジです」
少女は淡々と答える。
「マジかよそれじゃあどうすれば」
「いい方法があります」
「なんだ」
「私とあなたしか動けていないようですしちょうど私は好感度が見えます。
そこから他の人の恋愛を後押しするのはどうでしょう?」
「でもよ時間止まっているのにどうすれば」
「あ」
はじめて少女の表情が崩れた瞬間だった。
「おいなんも考えてなかったのかよ」
「すいませんついつい時間を進める方法を知って嬉しくてなにも考えていませんでした」
嬉しくてとかいっているがほぼ表情動いてなくね
まあ今さっきの驚いた表情は少し可愛く感じたけどよ。
って誰目線だ俺は
「さてそれじゃあまあ最初にターゲットを決めてそのカップルをどうすればくっつけるか考えるか」
「いえ時間止まっているのにどうするんですか?」
「……それはそのまあどうでいいだろ」
「良くないですよ」
俺は考えた。
時間が止まっている状態で恋愛をサポートする唯一の方法を
「そうだ良いこと思い付いたぜ」
「良いことですか?」
「おうそうだよこっちで動いて見て影響が出るか試してみよう」
「………しょうもなさすぎませんか」
「うるせえよ仕方ねえだろそれしか思い付かないんだから」
「ええそうですねそれではやりましょう私たちのデートを」
俺は少女の言葉に思わずこう質問をした。
「デート?いや作戦じゃん」
「いえ両片想いな2人をふっつけるための作戦ですからデートです」
「いやなんでそうなる」
「うるさいですよさっさと話をはじめましょう」
「あれ?なんか無表情だったのに意外と表情豊かなんだな」
「……ダメですか?」
「いやそれどころかめちゃくちゃ可愛いと思う最初は無表情だと思っていたからギャップかな」
「へえそうですかわかりづらいと言われがちなので意外ですよ」
そうやって淡々と答える。
でもそんな少女の耳が少しだけ赤いことを俺は見逃さなかった。
俺たちはまず生徒会長と副生徒会長をターゲットにすることにした。
元々2人は密かに学校で付き合って欲しいランキング1位のカップルと言われているぐらいには人気な2人だ。
だが2人とも堅物で有名だからちょっと難しいかもなんて思う。
そう思いながら生徒会の重い扉を開け中に入る。
そこには生徒会長が机に向かってなにかを書いていた。
資料かなにかだろうか
金髪にメガネでみっちりした服装をした生徒会長というどこか髪色が浮いているような印象を受ける。
どこかの国のハーフらしく地毛らしい
ちなみに女性らしい肉付きをしており大変よろし
「………ガハッなにするんだおい」
俺はじぶんの腹に一発食らわせてきた少女を睨む。
「いえとんでもなくゲスな気持ちが横からした気がしたので殴ったそれだけです」
「クックッなあおまえもしかしなくても結構ノリいいだろ?」
「なんでそうなるんですか」
「別にただ話していてそう思ったそれだけだ」
「そうですかなら勘違いですよ
だって私はただのモブですから背景なんです
背景はなにいっても面白くないんですよ」
俺はその言葉を否定しようとして好きだった人に知られていなかったことを思い出す。
もしかしたら俺みたいなモブは誰の印象にも残らない面白味のない人間なのかもなんて考えがよぎる。
そして俺はそんな考えを横に置き生徒会長の書いていたものを見る。
そこにはスマホがあった。
書いていると勘違いしていたのはたぶん生徒会長のイメージによるものだろう。
「意外だな生徒会で生徒会長がスマホを使うなんてなにを送ってるんだ」
そう重い見てみた。
そしたらそこにはこんなことが書かれていた。
副生徒会長とのラインのようだ。
生徒会長のスマホの履歴
『今日はお仕事お疲れさま』
『きみも遅くまでご苦労様』
『いえ生徒会長こそ』
『いやいやきみの方こそ』
こんな感じの会話をずっと長く続けることに気がつき俺はスマホを見ることを諦めようとした。
だが少女はいった。
「ちなみに生徒会長が向ける副生徒会長への好感度は普通の恋人に向ける好感度と同じレベルです。
そして副生徒会長が生徒会長に向ける好感度は友人に対して向ける好感度と同じくらいです」
「マジで?」
「やっぱり聞いてこないと思っておかしいとは思ったんです。
でもまさか本当になにも考えずに来ていたとは」
「いや生徒会長と副生徒会長が付き合っていると噂になっていたから」
「それだけで向かった辺りに行動力ありすぎです」
「いやあそれほどでも」
「褒めてないです」
「冷たっまあでもありがとうよし決めた。
俺が生徒会長のスマホを使って副生徒会長を落とす」
でも正直いうと犯罪臭さMAXなのは自覚してる。
それでも自分のために時間を進めるためにやらせてもらうぜ
モブゼロ 山田空 @Yamada357
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