こびび

第1話

時空観測システム《オラクル》によって、過去のあらゆる出来事が観測可能になった世界。人々は“見るだけ”に満足し、干渉は禁止された神聖な領域となっていた。


そんな中、ひとりの青年・アキは、偶然にも禁じられた《干渉システム》へアクセスしてしまう。なぜ自分にそれが可能だったのか——それは、自身が《オラクル》創始者・長見悠一と、その妻・美智子の子であり、存在を歴史から抹消された“声の鍵”を持つ者だったからだ。


父は過去を改変しようとした犯罪者として捕らえられ、母は出産直後に謎の死を遂げた。だが、干渉システムの奥に眠る未編集ログには、全ての真相が記されていた。裏で糸を引いていたのは、政府ではなく、オラクル開発チームに潜り込んでいた神園リオ。彼は政府を騙し、歴史を己の都合で書き換えるため、父を陥れ、母を葬ったのだ。


アキは迷いながらも、親たちの“本当の声”と向き合う決意を固める。過去に干渉するか、真実を暴くか、それとも——沈黙を守るか。選ぶのは、彼自身。

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こびび @kobbsoramame

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