舐めて濡らして棘を抜きたい
辻田鷹斗
第1話 足首舐めて
「ねえ杏奈ちゃん。」
「んー?」
「足首舐めて。」
「はあっ?」
杏奈は嫌悪丸出しの表情を見せる。
「お願い!私からの一生で一度のお願い!」
「何で今?なぜ今日初めて喋った相手の足首を舐めなきゃいけないの?こんな綺麗な夕日が差し込んだ時にさ。」
「いいじゃーん。ね。ね。」
「はあ。全く。1年の期末テスト最下位の脳みそレベル1は理解できない。」
学校中の女性が憧れる杏奈。運動も勉強も完璧でキザ。背の高さとショートカットがより一層カッコ良さを掻き立てる。
でも。
何でいつも1人なんだろう。
自分以外の張り合える者が周囲にいないから?価値観が尖っているから?強情でプライド高そうだから?純粋に強そうだから?岩のようにムスッとしてるから?
どうして?
どうして杏奈は独りなの?
今日私が誘わなかったら今頃杏奈は自分の家に帰っていたに違いない。高校2年になってもただ孤独に青春を儚く散るのは寂しすぎない?
難しそうな哲学本を閉じ、乗り気なく私の元へ寄る。
「ほら。脱いで。」
「えっ?………………えっ!?」
「あんたが言ったでしょうが。ほら早く。」
「う、うん。」
黒い学校用靴下を両方とも脱ぐ。心臓が速まる。
まじまじと美術館の展示絵を眺めるように私の足首周辺を観察する。
「ふーん。意外と小さい。」
「……えっ?あああ。確かに?私小柄だし?」
「…何緊張してんの?」
緊張しない方がおかしい。いくら杏奈にとって初対面の相手だろうが、私は違う。何度も意識して何度もアプローチ掛けて何度も影ながら思いを寄せてきた特別な人だ。そんな相手が目の前で私の足首を舐めてくれるのは呆気なすぎるだろうか?
そっと足首を持ち、顔を近づける。目を閉じてゆっくり舌を出す。
ヌルっと不思議な感触がした。感触をしたと同時に喜びと不快感が混ざり合う。混ざり合った感情は恋情に変わっていた。胸の奥と股の間から熱とドクドクした興奮が襲う。
「ぬフゥ。」
声を上げて間もなく次の箇所へゆっくり舐める。
実行前と打って変わって杏奈は嫌な顔ひとつせず従順に舐め続けた。
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