3-7.王国軍制圧完了

 ズドーーーン!!バーーーーン!!



「なんだなんだ!?」


「軍に対する攻撃か!?」


「警備兵!被害状況の確認!」


「HQ(Head Quarters:本部)に急ぎ報告しろ!それと寝ている兵士を全員叩き起こせ!ただ事じゃないぞ!?」


「総員第1級戦闘配備!すでに敵が潜り込んでるかもしれん!警戒を強化せよ!」


「報告します!先ほどの爆発音は敷地外からです!今のところは被害はありません!『勝ち組』による攻撃の可能性が高いと思われます!」


「撃ったヤツを見たのか!?」


「いえ、真っ暗で視認できません!」


「バカモノ!不確実な報告をするな!!『勝ち組』に見せかけて、他国の工作員の可能性も十分に考えられる事態だ!すぐに出せる人員すべて出して、徹底的に探し出せ!!」


「はっ!」



 そんな大混乱な状況を少し離れてオレたちは見ていた。



「···ってな具合で王国軍駐屯地は大混乱に陥ってるんだろうなぁ〜。みんな大慌てで外に出てきたぞ。計画通り!」


「なんですか?その5流小説家のようなヘタなセリフは?売る気あるんですか?」


「即興で考えたんだから売れるわけねえだろうが?それにオレは税務署長であって小説家じゃねえよ」


「いえ、税務署長でもありません」


「おいスタイア!今は有休中だから籍はあるぞ!!」


「いえ、今は『税収防衛戦隊オサメルンジャー』では?」


「···そうだったわ」



 こいつ···。ものすごく嫌がってたのにやる気マンマンじゃねえかよ?まぁいいけどな。


 さて、どうやら大半は陽動作戦に引っかかったな。深夜で今日は新月だし月明かりがないからものすごく暗い。そう簡単に犯人の姿なんて見えるわけがないから人海戦術をせざるを得ない。


 駐屯地は人がほとんどいなくなったな。そんじゃあお偉いさんをぶん殴って、奪われた金品を回収しましょうかね〜!



 まずは裏口に回る。当然カギがかかってるな。ノブをガチャガチャしてるとスタイアが聞いてきた。



「どうするんです?」


「こういう時は扉の前で踊ればいい」


「本当に頭がイカレポンチなんですね?」


「まぁいいから見てろ!ふんにゃー、えいこらさっさっと!」



 オレは某かくれんぼゲームのネタをやってみた。すると···?



「···ん?なんの声だ?誰かいるのか?」



 釣れた!オレたちはすぐに開く扉の反対側に回った。そして扉が開いたとたんに···!?



 バーーーンッ!!



「んぎゃっ!?」



 ヴェロッタが扉丸ごと大ハンマーでどついて、出てきた兵士はどついた扉が急に閉まって頭をクリーンヒット!···鼻血が出て若干首が変な方向に向いてるけど、生きてるっぽいからいいか!事故だよ事故!


 倒れた兵士はスタイアとヴェロッタがあっさりと服を脱がせて、あっという間にパンツ一丁にして扉の外に出して、オレたちは中に入った!···こいつら、手際よくなったな。


 もちろん扉は施錠したぞ!ちょっと扉が変形したからカギがかかりにくくなったけどな。


 建物の中は巡回兵はいなかった。全員駆り出されてるのだろう。


 建物の図面は勝ち組のレイ組長が持っていた。だから最短ルートで一気に突き進んでいく。


 指令本部にあっという間に到着したが、入口には見張りが2人立っていた。



「どうしますか?真正面から倒します?」


「いや、できれば穏便に済ませたい。オレに任せろ。ちょっと離れてろよ」



 そう言ってオレは某かくれんぼゲームと同様に壁をたたく。



 コンコンッ!



「ん?なんの音だ?」


「誰かいるのか?確認しよう」


「ああ。賊やもしれんぞ。注意しろ」



 見張り2人が持ち場を離れてこっちにやって来た。では次の仕掛けはコレだ!



 オレは角っこにとある本・・・・を置いておいた。そこに見張りが近づくと···?



「お···?」


「あ···?」



 見張り2人が小走りでやって来て···、



「おおっ!?」


「この本はっ!?」



 そう。エロ本だ!これが正しい使い方・・・・・・なんだよ。某かくれんぼゲームと同じだったなぁ〜。



「「いいものを見つけたぁ〜!」」



 男はやはり本能には逆らえなかったな···。軍って規律が厳しいだろうから、こんなものないだろうしな。集中して読書・・をしている横をそ〜っと通り抜けた。



「なんというか···。あの本にはああいう使い方があるのですね?」


「エロって仕事ほっぽらかしてまで見るもんなんだなぁ〜」


「感心してる場合じゃないぞ、2人とも。ほら!指令本部を襲撃だ!」


「了解」


「あたいのサイフを取り返すぜ〜!」



 見張りを排除してから、オレは指令本部の部屋の扉を···、思いっきり蹴飛ばした!



 ドンッ!!



 ···しかし なにも おこらなかった!



「何やってんだよ?」


「イタタタ···。扉を蹴破ろうと···」



 オレのキック力では扉をぶち破れなかったんです···。恥ずかし〜〜!!



「あたいの大ハンマーでぶっ飛ばすか?」


「いや、中の連中には聞きたいことがあるからな」



 恥ずかしがってる場合じゃない!テイク2だ!今度はドアノブ回して勢いよく開いた!



「ん!?な!?なんだ貴様らは!?」



 会議室には3人か···。真ん中で偉そうにしてるのが大将だな!



「悪党に名乗る名などない!貴様が大将だな?」


「フンッ!見張りは何をしておったのだ?こんな賊に侵入されるほど鍛錬が不足してるとは思えんが。何のようだ?」


「お前らが市民から火事場泥棒したと実行犯捕まえて吐かせた!市民を守る軍が!なんでこんなバカやってるのだ!?」


「これは偉大なる計画なのだ。貴様らが知る必要はない。なにも知らず、わが計画の肥やしとなればいいのだ」


「ふざけんな!市民を犠牲のするなんて軍のやることじゃねえ!貴様らは正しいのか!?」


「なんだと?」


「正しいのかと聞いている!」


「そうだ!戦力を維持したまま防衛費削減など、断じて受け入れられぬからな!だから計画を起こしたのだ!」


「だからといってそれは国を相手に折衝することだ!住民には関係ないだろうが!?」


「ふんっ!問答は終わりか?ならば···、死ねぇ!!」



 大将の両隣の幹部が襲いかかってきた!しかも剣を抜いてる!だったらこれでどうだ!



「ソルトウォーター!!」



 オレは両手から濃い塩水を幹部2人にぶっかけてやった!



「「ぎゃーーーー!?目がーーー!?目がーーー!?」」



 ははは!濃い塩水は目に入ると非常にしみる!ただの塩水だから無害だしな。


 なんとオレの水魔法は純水以外にも出せることが先日わかったんだ。『ジュース出ねえかなぁ〜?』と思ったら出ちゃった···。


 他にも酸もアルカリも出せちゃったんだけど、なぜかアルコールだけダメだったんだ···。タダ酒できると思ったんだけどなぁ〜。


 というわけで今回は塩水だ。これで目つぶしをしてひるんだスキにスタイアがムチでしばき、ヴェロッタがぐーぱんちでノックダウンさせてしまった。


 あとは大将だけだ。



「そんじゃあスタ···、ゴホン。ブルー、イエロー。やってしまいなさい」


「了解です。今回はなかなか楽しめそうですよ」


「今回はあたいが思いついた実験もやるぜぇ〜!」


「な!?なにをするきさまらー!?」



 オレは2人に任せて部屋を出て、エロ本に夢中の見張りを背後から襲って倒しておいた。


 その直後···、



『ぎゃーーーー!?』

『母ちゃんにもやられたことないのに!?』

『あっつい!あっつい!!』

『なんだそれは!?おい!?パンツずらすな!なにをする!?』

『あっ!?そこは!!アヂヂヂヂーーーー!!』

『あっーーーーー!!』



 こうして王国軍はオレたちによって無血で制圧が完了したのだった···。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る