3-8.王国軍、調教されて忠犬になる!?

 オレたちは王国軍の指令と大将を討ち果たした!


 すぐに『勝利』の狼煙のろしを上げると、外にいたスラムの連中は雄叫びを上げて勝利を祝った。


 対する王国軍は駐屯地が攻め落とされたと知らされて抵抗する者もいたが、少しずつ敗戦の雰囲気に呑まれて投降していった。駐屯地は事前にほぼ囲んでいたので脱走兵はいなさそうだな。


 作戦の第1段階は完了した。とりあえず休める者は休んでもらい、捕虜は武装解除の上で駐屯地に封じ込めた。


 オレらも疲れ切っていた···。ホント、よくこんな作戦が成功したもんだよ。オレなんかド素人だしな。



 そして夜が明けてその日の昼···。


 仮眠で思いっきりダルい中、町中では歓声が上がっていた!



「サイフが戻ってきたぞー!!」

「ワシの愛用のカツラがあったーー!!」

「妻に内緒で買った愛人へのプレゼントの指輪が戻ってきたーー!!」

「あたちのくまごろーのぬいぐるみ〜!」



 やっぱり駐屯地の倉庫にあったわ。うちの地区から盗まれた金品がな。もちろん税務署の金庫にあった税金もな。


 ホント、ろくでもねえ連中だわ。まぁ因果応報だな。


 さて、それでは作戦の第2段階だ。どっちかといえばこっちが大惨事になるわけだが···。


 その作戦とは···、



「それではこれから皆さんの腐った性根を(リアルに)叩き直します」


「どんだけ罪深い事をしていたのかを思い知ってもらうぜ〜!」



 そう。スタイアとヴェロッタによる『教訓を与える』事だ。


 しかし、人数が多すぎるので今回は信者の皆さん・・・・・・にも協力してもらっているんだ。



「さあ!皆さんも新しい世界に目覚めるのですよ!」


「大丈夫ですよ〜!最初だけ痛い・・・・・・ですけど、どんどん気持ちよく・・・・・なりますからね〜!やみつきになっちゃうんですよ〜!」



 そうして始まった教訓は日が暮れるまで続けられ···、



「ああ~!気持ちいい!」


「なんて愚かなことをしてしまったんだ!?」


「踏んで!こんな下劣なオレを踏んでくれ〜!あぁ~!?そこっ!?し・あ・わ・せ〜!」



 ···もはや何も言うまい。全員スタイアとヴェロッタの忠実なしもべに改造が完了してしまったのだ···。


 さらに···、



「貴様ら!たるんどるぞ!もっと!こうやってここを踏むのだ!わかったらワシにやれ!そう!そこだ!あぁ~!!」



 なんと大将が完全にどハマりしてしまい、なんとか調教を耐え抜いてドMに染まらなかった連中も、大将が陥落してしまったことで受け入れてしまった···。


 ちなみに女性兵士はというと···、



「(ビシィッ!)オホホホ!もっといい声でお泣き!!」



 ···思いっきりドSに調教されてしまった。


 これ···、ホントどーすんだよ!?想像以上にひどい絵面になってしまったわ···。



「署長。教訓終了しました。人数が多いと大変ですが、何事も慣れですね」


「いやぁ~、今回は大変だったぜ···。こんな人数やってねえからなぁ〜」


「2人ともお疲れさん。思ってた以上にすさまじい状況だけど、本当に大丈夫?」


「今なら剣で刺されても喜ぶでしょうね」


「···怖ぁ〜!」


「んで?署長。次はどうするんだ?」


「ヴェロッタ。とりあえず城北地区は制圧完了だし、もう次は王城攻めようかなぁ〜?」


「いえ、ここは他の地区も制圧したほうが城に白旗上げやすくなります」


「軍も半分以上制圧しちまったけど、まだ半分ぐらいあるぞ?そいつらも調教しとくか?」


「そうだなぁ〜。とりあえず軍が考えてた計画とやらを知ってからの方が動きやすそうだ」


「では大将をVIPルームに連れてきますね」



 そうして20分後···。



「ワシに聞きたいこととは?」


「軍のクーデター計画。知ってるんでしょ?」


「もちろんですな。しかし···」


「降伏しても話せないと?」


「いえ、そういう訳では···」


「じゃあどうしたら教えてくれるのさ?」


「···踏んでください」


「···は?」


「ワシを踏んでください!あの快感がたまらなさすぎてガマンできんのです!お願いですから踏んでください!あぁっ!?禁断症状がぁ〜!」


「わかったわかった!スタイア!やっておしまい」


「了解です。ふんっ」


「(ドスッ!!)ぐあっ!?あぁ~!そこ!そこですぅ〜!!」



 ···どこを踏んだかは皆さまのご想像にお任せします。詳しく書くと間違いなくこの物語が削除されますから···。



 そして聞き出したのは驚くべきものだった!


 まずは活動資金。防衛費が足りなさ過ぎて一般兵の服はつぎはぎだらけボロボロ、剣もサビサビで切れ味がほとんどないらしい。


 食事もひどい状況だったらしく、リアルに歯が立たないパンを削りながら食べるという状況もあったそうで、防衛費増額は毎度要望してもダメだったそうだ。


 そんじゃあ何に金を使ってたのか?と言うと、魔獣退治で殉職した兵士の家族への遺族年金だったらしい。これが本当かはまだ分からんけどな。


 へなちょこ装備のままでは雪だるま式に遺族年金が増えてしまうことから、今回は止むを得ずクーデター起こして軍政にして思う存分税金を使っていい状態にしたかったそうだ。


 そのための第一段階として、大規模窃盗して集金して治安悪化して、暴徒と化した住民も利用してクーデターを仕掛けようというわけだ。


 この計画でえげつないのは、住民は知らず知らずのうちに利用され尽くしてるってところだ。


 金は軍に盗まれ、その憎悪を軍じゃなくて国に向けて鉄砲玉にして、その上で自分たちはそんなに手を下さずに成功しようって魂胆だ。ホント、人の心あるのかよ?ってぐらいゲスな計画だわ。潰して良かったぜ···。


 しかし、そこまで防衛費足りんのかよ···?よくこんな状態で国を防衛できたな。


 ちなみに大将によると、スタンピードが起こったら1時間もたないそうだ···。通常の魔獣だけでも倒すのに一苦労らしい。


 ···運良く成立してるって事だな。こりゃなんとかせんと、今すぐ滅んでもおかしくないぞ!?



「よし!明日の深夜に西城地区へ侵攻するぞ!」


「署長。それだと背後を城東地区に突かれませんか?」


「大丈夫だろ?そもそもうちらの動きはよその地区は知らんだろうし、知ったとしても準備が終わるまでに攻め落とせる!」


「確かにそうですね。それでは署長先頭にいきましょう」


「···なんでオレが一番矢面に立つの?」


「言い出しっぺでしょう?それに、総大将が先頭に立てば士気は上がるものです」


「どっちかといえば軍も勝ち組も、オレよりもお前らの方を信用してるぞ?」


「ただの教官だっただけですが?」


「教え方だろうな···」



 さて、明日の深夜に西城地区を襲撃するぞ〜!

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