3-6.税務署長の演説と宣戦布告!?

「···我々は、一つの出版社を失った!しかし、これは敗北を意味するのか!?いな!始まりなのだ!

 城南地区に比べ、我が城北地区の税収は十分の一以下である。にもかかわらず、今日まで生き抜いてこられたのはなぜか!?

 諸君!!我が城北地区の戦争目的が『表現の自由|(エロ)』だからだ!

 これは諸君ら(特に成人男子)が一番知っている。

 スラムはいろんな理由で住処すみかを追われ貧しい生活にさせられた!

 そして王国軍と憲兵のバカどもが、貧乏な城北地区にまで火事場泥棒をして3日目!ここに住む我々(特に成人男子)が、表現の自由 (エロ)を要求して何度踏みにじられたか!

 城北税務署の掲げる、『人類一人ひとりの正しい納税』を、オレが見捨てるわけはない!(そりゃ税務署だもん)

 ···私、そして諸君ら(主に成人男子)が愛してくれた『ドゥー・スケスケ出版社』は全焼した!なぜだ!?(『坊やだからさ』は禁止な)

 窃盗行為は、やや落ち着いた。諸君らはこの戦争とも言える窃盗団を、対岸の火と見過ごしているのではないか!?

 『ドゥー・スケスケ出版社』は諸君らの甘い考えを自覚させる為に死んだ!諸君の、父も、兄も、子も、その表現の自由|(エロ)の無思慮な抵抗の前に絶望していったのだ!(小さい子はちょっとマズいかなぁ~?)

 この悲しみも、怒りも、忘れてはならない!それを『ドゥー・スケスケ出版社』は、死を以て我々に示してくれた!

 我々は、この怒りを結集し!王国軍に叩き付けて、初めて真の『表現の自由』を勝ち得る事が出来る!···この勝利こそ、成人男性全てへの最大の慰めとなる!

 市民よ!悲しみを怒りに変えて!立てよ、市民よ!!

 我ら城北地区の民こそ、選ばれた民である事を忘れないで欲しいのだ!

 (いろんな意味で)優良種たる我らこそ、人類を(エロで)救い得るのである!!

 ジーク・エロ!!」


「「「「うぉおおおーーーーー!!」」」」



 オレは税務署の前の大通りで声高に演説した!頭には『勝利!!』と書いたハチマキをしてな。


 演説の文言をどうしたらいいのかよくわかんなかったので、某ロボットアニメの素晴らしくかっこいい演説を思い出して引用させてもらった。なかなかいい出来になってるんじゃないかな?



「最低な演説ですね。戦争目的がエロ本だなんて。しかも一部言ってることの意味がわからないですけど?」


「スタイア。こういうのは勢いだ。内容は特にどうでもいいんだよ」


「でも、みんな結構ノリノリだったなぁ~!集まったのは男ばっかだったけどな。エロってそんなにいいのか?」


「ヴェロッタ。エロはいいぞ~!まだお子ちゃまだからあの良さがわからんか···」


「···あぁ?」


「ごめんなさい。失言でした···。でも、女性向けのエロもあるんだぞ?BLボーイズラブってのがな。···そういえばそっち系はなかったな。エイヂさんに案出しとこう」


「ぼーいず···?なんだそれ?」


「簡単に言えば男同士で禁断の···、おっと!?これ以上はまずいので、できたら見せてやるよ」


「おう!楽しみにしとくぜ!」



 さてと···。これで戦力は確保できたな。戦力と言っても武器を持って戦うわけじゃない。ぶっちゃけて言えば『人間の壁』だ。


 王国軍や憲兵は犯罪行為が行われない限り、不当に逮捕や暴力を振るうことが許されていない。犯罪一掃キャンペーンとやらででっちあげでノルマ達成しようとする事もあるけどな。


 だから群衆として集まって行進するのではなくて、王国軍や憲兵をちょっと不可抗力な理由で妨害するってぐらいだ。


 オレたちは王国軍や憲兵全員を抹殺することが目的じゃない。敵は上位幹部のみ!でないと制圧完了後に魔獣が襲い掛かってきたら全滅しちまうからな。


 ちなみに実行部隊はスラムの過激派の皆さんと、税務署からはオレ、スタイア、ヴェロッタが参戦だ。


 もうちょっと人員欲しかったんだけど、税務署業務が滞ってしまうからな。ヴェロッタは取立てようとしても相手が金持ってねえからどうしようもないので問題ないのだ。


 活動期間は16日間だ。税務署業務扱いにされなかったので、有休扱いで個人的な活動だ。有休10日しかないから、有休の前後に通常の休みを入れた最大日数で挑むぞ。


 ちなみにスタイアとヴェロッタは35日あるそうだ···。ほとんど使ってねえじゃんか!?どうりで余裕ある顔してると思った!


 というわけで短期決戦だ!今日から有休使ってるからな!さっさと終わらせないと!


 まずは勝ち組のアジトにやって来た。最大戦力は勝ち組だからな。



「まさかこんな早くに復讐するとは思わなかったな···。それで?どんだけドンパチやればいいんだい?」


「基本的には陽動をお願いしたい。思いっきり大暴れして連中を可能な限り詰め所から引き出してしまえば、あとはこっちでなんとかするわ」


「なるほどねぇ〜。下っ端を相手に引っかき回すんだね?まぁ、あいつらは上官命令しか聞かないからな」


「そういう事だ。要は頭さえ潰せればこっちのもんだ」


「その後はどうするんだい?こっちに引き込むのかい?」


「そのつもりだけどちょっとした仕込みはするつもりだ」


「仕込み···?って、まさか?」


「ああ。狂犬を忠犬にする・・・・・・・・


「あれなんだね···?ホント、最近の税務署は恐ろしいよ···」



 ということで打ち合わせ完了!さっそく本日夜襲を仕掛けます!



 時刻は午後10時···。



「さて···、行くぞ!」


「いいですけど、これは深夜勤務ですよ?深夜手当出してくれるんでしょうね?」


「あとだあと!」


「ふわぁ〜···。ちゃっちゃと片付けて早く寝ようぜ〜?」


「ヴェロッタは夜は苦手なんだな···」


「普段だったら寝てる時間だからなぁ〜」


「よし!オレも早く帰ってふとんで寝たいからな!それじゃあスタイア。合図を」


「了解です。派手にいきましょう」



 スタイアが用意したのは···、大砲だった!ちゃんと弾も入ってるぞ!


 実はこれ、追徴課税で物納された大砲でした。しかも国外製品なので使い捨てです。王国軍も国も引き取ってくれなかったそうで、税務署の倉庫にホコリかぶってた代物です。


 うちの税務署の倉庫にはこういったいわく付きの物品が数多くあったのだ!治安悪いし現ナマ持ってない人が多かったので、こういった物騒なものが多かったのだ!


 ちょうどいいので、無価値の物品を大量処分じゃーー!!



「撃て」



 ズドーーーン!!バーーーーン!!



 深夜の夜空に汚い花火が打ち上がった!···火薬湿気てたんだなぁ〜。


 しかし、しんと静まっている深夜だったので、非常に響き渡っていた!王国軍の駐屯地がザワザワし始めた!


 この花火が王国軍への宣戦布告だ!

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