3-4.デマを潰せ!
「犯人はスラムの連中だーー!!」
スタンピード発生による避難警報で避難して、解除されてから戻ると、全員の家が火事場泥棒に入られていた!税務署も金庫が破られていたんだ。
国に救済策を求めても一切なしという判断をされて失意のまま税務署に戻ったら、外からとんでもない声がした!
オレは慌てて外に出た!叫んでるのはどこにでもいるようなおっさんだ!大声で騒いでいた!とっとと止めるぞ!
「おいおっさん!何を証拠にそんな事叫んでんだ!」
「やかましい!やったとしたらあいつらしかいねえだろうが!?こんな大規模で被害が出てるんだぞ!人数考えたら当然だろうが!?」
「犯人見てねえのに決めつけんな!スラムがやったっていう証拠は!?悪質なデマを流すんじゃねー!」
「そんなもんねえよ!でも状況考えたら間違いないだろうが!?」
「犯人と決めるのは憲兵だ!お前じゃない!もし犯罪やってないのに冤罪で捕まえたら、そいつの人生を左右するんだぞ!」
「知るかボケェ!!スラムの連中なんかいなくても問題ねえ!!」
「少しは頭冷やせーーー!!」
オレは水魔法を応用してきめ細かい氷を作り出しておっさんにぶっかけた!!
「ひぇ~!寒い〜〜!な、なにするんだ!」
「頭冷やせ!まずは憲兵に調べさせてからだ」
「うるせぇ!てめぇスラムの肩持つ気か!?」
「少なくとも言いがかりは見過ごせねえな」
「だったらてめぇもグルだな!くらえ!!」
このおっさんはさらにヒートアップしやがった!殴りかかってきたから仕方ねえけど、これは正当防衛だからな!!
「水鉄砲!」
「ぐふぅっ!?」
おっさんのみぞおちに水鉄砲を食らわせて気絶させた。正当防衛は問題ないからな。
「タックさん!この人を縛ってVIPルーム入れといて」
「署長···。ついに一般人まで
「怖い事言うなよ!?保護しただけだって!あとで憲兵に引き渡すから!」
さて、これは非常にマズい!!
これまで
「スタイア!急いでレイ組長に状況を伝えてくれ!デマで襲われかねないって!」
「了解です。ついでに署長が一般人を洗脳して対処するとも伝えておきます」
「それはオレに対する悪質なデマだ!状況考えろよ···」
「冗談です」
「お前が言うと冗談に思えんのだが?」
とは言ってもオレとしても大した事はできんけどな。かと言ってオレが正当を言うと余計に話がこじれてしまうし、うちに火の粉がかかるからな···。
なんでこんな目に···?うちって税務署だぜ?関係ないのにどんどん巻き込まれるのはどういう事だよ···?
とりあえず、このおっさんをどうするかだな···。今は縄を解いてソファに寝かせている。すると、おっさんが少し寝返りをうった。
その時だった!着ていたジャケットの内ポケットから何かが床に落ちたのだった。どうやらポケットが一部破れててそこから落ちたようだ。
「···ん?なんだこれ?」
オレがそれを拾い上げると···、驚くべきものだった!
「···ちょ!?マジかよ!?」
コイツ!憲兵だ!!
落ちたのは身分証だった。憲兵の詰所に入るためのいわゆるIDカードだったんだ!
つまり···、こいつは憲兵の業務として悪質なデマを流していたって事になるぞ!?
「タックさーん!もう1回ふん縛ってーー!こいつが犯人だーー!!」
「な!?なんだってーー!?」
1時間後···。
「ん···?ん〜〜···」
「よお。目が覚めたか?」
「ここは···?」
「とある
「···へ?な!?なんだあんたは!?」
「オレか?正義を守る『税収防衛戦隊オサメルンジャー!』」
「···は?」
さすがにオレの顔がバレちゃマズいので、先日
「貴様はこの地区の平和を乱そうとしたな?」
「はぁ?何言ってんだ?」
「さっき大声でスラムのせいにしていただろ?」
「事実だろうが!?」
「事実ではないとさっき裏が取れた。全員避難場所の隅っこに集まってたとの証言が取れている。お前がやったのは悪質なデマを垂れ流して信用を落とそうとしたれっきとした犯罪行為だ」
「ウソだ!」
「そう、お前がウソだ。ウソを真実だと思い込まされたのか?誰に言われた?」
「そんな事言われてねえよ!」
「あっ、そう。これな〜んだ?」
そう言ってオレはおっさんの身分証を見せた。
「なっ!?なんで貴様が持ってる!?」
「胸ポケットからずり落ちたんで拾ったらこれだったのさ。憲兵がどうしてこんな悪質なデマ流してんのさ?地域の平和を守るのが仕事だろう?」
「···それは俺のじゃねえよ」
「じゃあなんでさっき『貴様が持ってる!?』って言ったんだよ?はぁ~、認めようとはしないのかよ?やっぱオレじゃあ尋問はムリだったなぁ〜。今のうちに洗いざらい吐いてれば良かったのに···」
「何をしようがムダだ!残念だったなぁ〜?俺はどんな拷問にも耐えられるよう鍛えられてるんだ!」
「あっ、そう。一応言ったからな。じゃあスタ···、ゴホン。ブルー、イエロー。やっておしまいなさい。オレは外に出ている」
「わかりました。調教を開始します」
「お楽しみはここからだぜぇ〜!」
オレはブルーのコスチュームのスタイアとイエローのコスチュームのヴェロッタに任せてVIPルームを出た。
その直後からVIPルームからは···、
『ぎゃーーーー!?』
『あっつい!あっつい!』
『そこは!?ちょ!?ヤ、ヤメテーーーー!』
『なんだよそれ!?そんなもん入らねえって!!ぐあっ!?ぎゃーーーー!?』
『そこだけは!?そこだけは勘弁しアヂヂヂヂーー!!』
『ごめんなさいごめんなさい!!言います!全部言いますからぁー!?あっ!?ちょ!?あっーーーーー!!』
というような断末魔の叫び声が廊下まで聞こえてきた···。
「署長?スタイアとヴェロッタはなにしてるんですか···?」
「タックさん···。世の中、知らないほうが幸せな事もあるんですよ···?」
「は、はぁ···。でも、あの叫び声ってなにか心に響くものがありますね···。今度どんな事をやってるのか2人に聞いてみますよ」
「···えっ!?ちょっとタックさん···?」
タックさん···。うちの署員の中でまともな方だと思ってたのに···。そういう性癖あるんすか···?
そして30分後、静かになった。すると、コスチュームを脱いだスタイアとコスチューム着たままのヴェロッタが出てきた。
「署長。とんでもない事実が判明しました」
スタイアからの報告は驚くべきことだった···!
「これはクーデターの一環です」
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