2-7.スラム防衛戦勃発!
「スラムの平穏を乱す悪人どもめ!この『税収防衛戦隊オサメルンジャー!』が相手になる!覚悟しろ!」
「な!?なんだ!?あの派手な服と仮面の3人組は!?」
「貴様ら!我ら軍に歯向かうということがどういう事かわかってるのか!?」
「『犯罪一掃キャンペーン期間中』だ!こいつらを逮捕するぞ!公務執行妨害だ!」
「···え!?もしかして内戦か!?お金のニオイがすると思って調査してたのに!これは逃げないと!」
まぁ、そういう反応だろうな。軍に歯向かうってのは国家転覆を企むのと同じだもんな。
憲兵はホント、ひでぇキャンペーンだよなぁ〜。公務執行妨害って、逆にオレらの
あとは西城イワイ署の調査員だな···。ということはうちの税収システムを本格的に調査に来てたのか。うちに来てくれれば教えてあげたのに···。ヘタにプライド高いんだろうなぁ〜。
というわけでオレらは戦隊ヒーローの格好をして屋根上に登ってカッコよくキメポーズをして宣戦布告した!名前は適当に考えた。あったほうがカッコいいだろ?
「署長はセンスなさ過ぎですね。名乗るのが恥ずかしいんですけど?」
「おい、スタイア。文句言う割にはさっきのキメポーズをちゃんとやってたじゃんか?」
「嫌々やってるんですよ。こういうのは周囲の雰囲気と同様に行動すれば目立たなくなるからです。非常に不本意ですよ」
「正体を隠して行動するって、なんか興奮するな〜!盛り上がってきたぜぇ〜!」
「···なんかヴェロッタはお子ちゃまだなぁ〜?」
「···あぁ?」
「ごめんなさい。失言でした」
ベクトさんに決行日を調べてもらった結果、3日後に軍と憲兵が合同でスラム街を一斉捜査に入るという情報を仕入れてくれた。
オレはすぐにレイ組長に情報を流して対策をとることにしたんだ。
「情報ありがとな!さてと···。どう対応するかだな···」
「衝突は避けられそうにないからなぁ〜。ってか、なんで軍の金庫を襲撃したんだよ?」
「あ?うちじゃねえよ」
「···へ?」
「だからうちじゃねえって。もしかして、そんなウワサが出てるのか?」
「あ、ああ···。勝ち組がやったって···」
「···ハメられたか」
「まさか!?」
「ああ。でっち上げのウワサだ。ヤツら、本格的にここを潰すつもりだな」
···あ!そういえばベクトさんはニュースになったって言ってたけど『勝ち組がやった』って言ってなかったわ!オレの思い込みだった?
でも軍は来ちゃってる。もしかして、別の件なのか?聞いてみないとわからんな···。
「とりあえず住民が嫌がらせして追い返してはいるが、下手に手を出すと厄介だからほどほどにって言ってはあるが、それももう少しで限界だぞ?」
「だよなぁ〜。まぁ、実力行使に出るならこっちも出るつもりだ」
「本気か?税務署が軍に逆らったらお取り潰しだぜ?」
「正体がバレなきゃヘーキヘーキ!ただ、出せる人数が3人だけだ。住民の協力もお願いしたいんだよ」
「わかった。で?何やらせたらいいんだい?」
「まずは···」
ちゃんと事前に打ち合わせ済みだ。そんじゃあ嫌がらせ作戦始めるか!
「進撃開始!潰せ潰せぇーー!!」
「強制捜査開始!全員突撃ぃーー!スラムの連中は全員逮捕だーーー!」
そう来ると思ったぜ!王国軍と憲兵たちがスラムの狭い路地をぎゅうぎゅうになりつつも入ってきた!それじゃあまずはこれだ!
「ゴロゴロ作戦開始!」
「へ〜い!!おっと!?手が滑ったぁ!?そこの連中!右から来るぞ!気をつけろぉ!」
オレたちが立っている家の手前の狭い路地に、王国軍と憲兵が入ってきた。全員屋根上にいるオレらを見ているから足元が疎かだから気づかずに···。
「ぐわっ!?」
「わぶっ!?」
「ちょ!?押すなって!ぎゃあああーー!!」
ガラス玉が入った箱を持った男が坂の上で
狭い路地に密集して入ってきてるので、足元なんか見えるわけがない。だから先頭が滑って転んでしまうんだ。
ははは!こうも簡単に引っかかるのかよ!?ものの見事に群衆雪崩になったな!まぁ先頭は鎧着た兵士だったから重量もあって、そう簡単には起きあがれんだろうな〜。
鎧着てるから群衆雪崩になっても軽いケガで済むだろう。元の世界では死者まで出てしまった事故もあるからな。
狭い路地に人が集中し、さらには先頭がつまずいているので、軍と憲兵は大渋滞を引き起こした。まるで高速道路の事故渋滞のようだぜ。戻ろうにも後方は前方の状況がわからんので、前へ前へ進もうとして怒鳴っている。
一方の中央は状況がわかってるので引き返そうとしていたが、後ろから押されて引き返せなくなっていた。元の世界ではこういった雑踏の整理をするための警備員さんの資格があるぐらい、整理ってのは大変だと思い知らされるな。
じゃあ次の段階だな!
「ぶっかけ作戦開始!」
「了解!···あっ!?うちの家の汚水管が
バシャーーーン!!
「わぶっ!!ぎゃあああ!!クッセーーー!!」
「おい!近づくな!臭いぞ!!」
「無茶言うな!後ろから押されてんだよ!!」
「おいこら!どこ触ってんだよ!?」
「やかましい!当ててんのよ!!」
路地は阿鼻叫喚の地獄絵図と化していた。強烈なニオイのする汚水をちょっとかけただけで混乱はさらに広がった!
···ドサクサに紛れて変な事をしてるやつがいたようだが。キニシナイ!
こうして朝から始まった防衛戦は、スラムにおける避けることのできない悲しい
被害って言ってもほぼ自爆だけどな!オレらはきっかけを与えたに過ぎない。
さらにはオレたち3人は直接手出ししてないからな!
あくまで実行した者が悪いって事になっているんでな。ここはちゃんとタックさんに確認しました。タックさんは法律にめっちゃ詳しいのだ。
「···あんたら、本当に税務署員なのかい?最近の税務署って、とんでもねえなぁ···」
レイ組長に呆れられたオレらだった···。
いえ、こんなことやってるのはうちだけです。よそはやってませんからね。
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