20. 心の支え
私の名前は、
私は曲がった事が嫌い。何か変なことをしてる人がいると、どうしても注意したくなっちゃう。
授業中に話している人がいたり、寝たりしてる人がいると、どうしてもキツく言っちゃうし、先生にも後で教えたりしてたら、みんな私と話してくれなくなった。
そんな時に話しかけてくれた相手が、
「ねぇ、ここ座ってもいい?」
藍星みりだった。何で私と関わってくれるかわからなかった。みんなから避けられてる私と関わる理由なんてないはず、一歩間違えたら自分がいじめられる側になるというのに。
「ねぇ、何で私なんかと話すわけ?、私、周りから避けられたりしてるのよ?、私なんかと関わってたら、あなたも後ろ指刺されるわよ?」
「後ろ指…ってのはよくわかんないけど…何だか一人でご飯食べてるの見て、寂しそうだなーって思ったから、来ちゃった」
そう、私を見ながら微笑んだのである。
「ふ、ふーん、まぁ、一緒に食べたいっていうんだったら、食べてあげないこともないわ」
「ありがと!」
それから、毎日一緒にご飯を食べる毎日。
「それでね美波ちゃん。今日あの人たちに、美波ちゃんと話すなって言われたんだよね、でも喋りたいから喋る!」
どこまでも真っ直ぐで。
「………」
「どうしたの?、美波ちゃん」
「……クラスの連絡、手紙とか、私だけに回って来てなかったの…回されてこなかったの…それで、何で言わなかったの!、ってお母さんに怒られたから」
「それはひどいね、これからは僕が教えてあげる!」
困った時に話を聞いてくれて。いつしか自分にとっての、大切な存在になっていっていた。
でも…
「…美波ちゃん、転校するんだ…」
「うん…私のお父さんが転勤するの…だから私達も一緒に行かなきゃいけないみたい…」
「…そんな…ううん、大丈夫、泣いたりなんかしない。今までありがとう、美波ちゃん」
そうして訪れた引越しの日。荷物の発送はすでに終え、あとは車で私達も新たな家に向かう…といったときに、
「美波ちゃん!、元気でね〜!、一生忘れないから〜!、遠くに行っても、ずっと友達だからね〜!」
「うん、藍星君も、元気でねー!」
涙が溢れないように我慢してたけど、姿が見えなくなった時に、思い切り泣いちゃった。転校先では、やっぱり避けられてるように感じたし、上手く周りに馴染む事ができずに、孤独な生活を送った。そしてそれは、中学校になると、もっと加速していった。
小学校の頃は、良くも悪くも直接的に言ってくるか、誰も自話してくれなくなるかの二択だった。ただ、中学校になってからは、陰湿ないじめが出てくる。でもダメに決まってるじゃん、スマホを持ってきて授業中に触るなんて。そんなこと、許されるわけがないじゃない。
今でこそ、小学生の頃からスマホを持つ人が多かった、けど当時は全然持ってる人はいなかった…いや禁止されてる中、学校に持ってくる人が少なかったというだけなんだろうなって、今となっては思う。見逃しとけばいいものを、どうしても自分の正義感が、それをスルーすることを許さなかった。
「ここに授業中にスマホ持って来て触ってる人が居ます!」
「おい、バカ!」
すぐに先生がやってきて、スマホを没収した後に、職員室に呼び出されていた。きっと相当お説教されたのだろう、帰って来た時の顔が酷いことになっていた。それから数日後。
「おい、」
「…なに?、なんの用?」
その人が、人を連れて私を呼び止めたのだ。
「おい、何でわざわざチクったんだよ、おかげでめんどくさいことになったじゃねぇか」
「チクったも何も、学校に持ってきて、おまけに授業中に触ってたアンタが悪いんでしょ?、私は正しいことをしただけ、自業自得でしょ?」
「そういう偽善者ムーブが腹立つんだよ!!!」
偽善者?、少なくともルールを守ってないアンタに言われる筋合いなんで微塵もない、何で私が責められないといけないわけ?、なんて思っていたのに…次の日から嫌がらせされるようになった。
私は間違ったことはしていないはずなのに、毎日繰り返される嫌がらせ。悪人が利益を得て、正直物がバカを見る世界。気にしないようにしていても、私の精神は徐々にすり減っていった。
こんな時に、藍星みり、あの人がいてくれたら。私の心の支えに、なってくれるのかな。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます