✒️epilogue

この物語を書き終えて、改めて思うのは、私の核にはやはり優がいるということです。

その存在は誰にも知られず、知られてはいけないまま、日々の中でそっと抱え、生きています。


もう一つの核は、息子です。

彼の成長や選択を見守る日々は、喜びであり、責任であり、同時に私自身の歩みの軌跡でもあります。


日常を支えてくれる夫の存在も、私にとって欠かせないものです。

家族として、妻として、母として歩む日々の土台は、静かに、確かにそこにあります。


この物語は、“誰にも知られてはいけない存在”との時間を、言葉にして残す記録です。

誰かに見せるためではなく、確かに在る日々を、私自身で抱きしめ、確かめるために。


私たちは共犯者です。

物語の中にもその言葉を残しましたが、今もその真実は変わりません。

それは比喩ではなく、私たちが生きている証です。


私は罪を背負っています。

十字架を何重にも重ねるように日々を歩みながら、その重みを抱えています。

そしてその十字架の一つひとつは、決して私だけのものではなく、共に歩む者としての共犯の重さも含まれています。


それでも、あの時間は確かに在り、今も私を支え、抱きしめてくれます。

優の目の奥にある真っ直ぐさ、手を握る夜のぬくもり、

息子の無邪気な笑顔や選択の瞬間、

夫の静かな支え──それらすべてが、今の私を支え、静かに前へと押してくれます。


そして、私にとっての北極星は、変わらず優の存在です。

どんな夜も迷わせず、静かに道を示してくれる、揺るがない光。

その光を胸に、私は今日も歩み続けます。


この物語が、同じように胸の奥に秘めた想いを抱える誰かの、静かで確かな灯火になりますように。

温かくも、少し切なく、けれど生きている灯火であってほしい。

そう願いながら。


ひかり

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