第4話 主人公に都合の良い世界

この世界は恋愛ゲームである。さも当然のように、主人公とヒロイン3人はクラスメイトであり、モブであるところの俺も、主人公の御相伴に預かりクラスメイトである。


何度でも言うが、この世界は恋愛ゲームである。年齢制限こそ全年齢だったため、ムフフな18禁要素はゲーム内には皆無だったが、当然、プレイヤーが恋愛を楽しめる要素はたくさんあった。例えばこの世界は一夫多妻制であり、1人の男性が複数の女性と恋人関係になることを咎める者はいない。複数人との交際は一般的だったりする。当然、ハーレムエンドも用意されている。


――あとは、そうだな。


ヒロインを攻略していくと、様々なトラブルに巻き込まれてしまう。なんだけど、どんなに未曾有のトラブルでも、ヒロインに危険なことは起こらず、なんとなく主人公が解決に導いてしまう。まぁ、ご都合主義な世界だ。


前世の記憶がなければ、何も感じないんだけど。つくづく、佐藤湊に都合のいい世界だな。


俺は、この4人の恋愛に関与するつもりは今のところない。そんなことより、自分がどこまで成長できるのか、どこまで高みに登れるのか。そんなことに高揚し、ワクワクしていたのだった。


俺は1人と3人の恋愛模様を観察しつつ、自分のパラメーターを上げることを意識して授業を受けることを決意していた。

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