36話 意思が才能を打ち砕く瞬間
「加寿美亜音、私をどれだけ殴ろうとも私が
倒れる事は、ありません!
私は、絶対に負けない、彼を害そうとする貴方を
絶対に邪魔します!」
「くっくっくっ。
面白い、面白い、面白い、面白い、面白い、面白い
面白い、面白い、面白い、面白い、面白い!
君がぁ?私をか?無理だ、絶対に倒せない!
私を君が倒す何て夢の中ですら叶わない。」
腹を抱えながら心底面白そうに笑う。
だけどその瞳は笑っていない、本当に不可能だと
言っていた。
「来るといいよ✩
君の顔が血塗れになっても殴るのを辞めないよ?」
「上等ですよ!はぁぁぁぁ!」
私は、壁を思いっ切り蹴って真っ直ぐ突進する。
「ハハハ✩お得意のスタンガンは、出来ないぞ!
どうする桜!」
腕を振り上げ、顔目掛けて一直線に拳が
行く…………が、すぐに受け止められ相手側に
引き寄せられそのまま流れるように肘で私の顔を
殴りつけた。
「うっ。」
「ハハハ✩君に私を倒す何てぇ!」
だが、吹っ飛ばされる前に加寿美亜音の服を掴み
その場に留まる………そして、思いっ切り頭突きした、服を掴まれる事が予想外だったんだろう。
更に反撃をして来るなんて思ってなかったんだろう。私の意外な反撃、そして多い選択肢の中で頭突きを選んだのが良かったのだろう、簡単に加寿美亜音の顔目掛けて私の頭が激突する。
「がっ。こ……こいつ!
あの状態で反撃して来るとはな!
だが……これならどうだ!」
頭突きした私の頭を両手で掴み膝に吸い込まれるように持って行き私の顔目掛けて膝が飛んでくる。
「ぐぁ。」
「私に勝とうなんて「ドゴ」
膝に私の頭を持って行きそのまま当てた。
だがその後また別の鈍い音が部屋に鳴り響いた。
私の拳が加寿美亜音の顔にめり込んだのだ。
「がぁ。こいつ、膝蹴りを顔に食らったのに怯む所かノータイムで私を殴っただと?
君は……………化け物か?
痛みを感じていないんじゃないか?
そう思ってしまうよ。」
顔を押さえながらよろよろと左右に揺れているものの倒れる気配は、なかった。
「ありえないだろ、ただの女が私の膝蹴りを
顔に食らって倒れないなんてさ?
どうかしてるよ、君。」
「貴方に言われたくは、ありませんね?」
「はっ。確かにね」
そこからは、ただひたすら殴り殴られ殴り殴られ
殴り殴られ殴り殴られ殴り殴られ殴り殴られ殴り殴られ殴り殴られ殴り殴られ
お互いに腹、顔、足を殴りあった。
どちらも引く事はなく、その場から動かずどちらも
相手の攻撃を避けようともせず殴りあった。
「ぐっ。」
「うっ。」
殴られる度にお互いに声にならない悲鳴をあげるが
引かない。
椿穂乃香side
ドゴン
「チッ、馬鹿力が!」
「ふん、お前に言わたくねえ!
だか、そろそろ終わりにしようぜ?」
「舐めんなよ!」
「お前の攻撃は、軽いんだよ!」
体がデカいから私のパンチじゃびくともしねぇ。
「チッ、ドゴッ
顔も駄目……か。」
私の体力の方が先に限界を迎えるな。
どうする?このままじゃ埒が明かない。
チラッと小峠の方を見ると殴りあっていた。
あいつがあんなにやってんのに私がこのザマとはな。けどよぉ……あれと殴り合いは、流石に。
病院送りじゃすまんだろあれ食らったら。
あぁもう、仕方ねえ!
「小峠、お前何かと共闘はしたくねえけど
このままじゃ魁斗の元に行く前に倒れちまう!
だから、やるぞ!
「ぐっ。それ所じゃ無いんですけど。」
「行くぞ!」
「人の話を聞いて下さい。」
「お前の事なんか知るか?!」
「貴方は、人の心とかないんですか?」
「魁斗以外にはない!」
「はぁ……それで、何をしようとしてるんですか?」
「お前があたしに合わせろ、以上!」
「は……はぁ?!」
小峠桜side
は?え?どう言う事?
すみません……理解が追い付きません。
何て言いました?あたしに合わせろ?
貴方の事なんて知りませんが?!
「他所見なんて余裕だねぇ!」
今は、それ所じゃないし。
この狂人の相手で疲れましたよ。
椿穂乃香の思考?はぁ………
やるしかないんでしょう。
「すみません、選手交代で。」
「は?今からが楽しいんじゃないか!
逃がすと思うか?!」
そう言われましても……多分簡単に逃げれますよ。
魁斗君の事なら椿穂乃香は、私の次に強くなれる。
パチン
加寿美亜音のパンチを避けそのまま後に下がり
近くに来ていた椿穂乃香とタッチをしながら
背中をくっつけてぐるりと回転した。
ドンッ
鈍い音が響いた。
椿穂乃香のパンチが加寿美亜音の顔を打ち抜いた。
しかも椿穂乃香は、走って来た分威力も増して
いるのか、先程私の弱いパンチを食らっていたからなのかは、分からけど、
「がぁ。」
ドンッ
その場に留まる事が出来ず後に下ろうとした加寿美亜音だが、それよりも早く打ち抜いた筈のパンチが
追いかけて来たのだ、そして後に下がるのに専念していた加寿美亜音は、防御態勢を取れずそのまま
直撃する。そして、あまりの速さと強さに耐え切れず地面に叩きつけられてしまう。
「がっ。…………私が油断していたとはいえ、この威力は、何だ?私が地面に寝っ転がる何てありえない。」
そして私は、と言うと。
ドゴン
「は?なん………で?」
大男が泡を吹いて倒れていた。
「ふぅ。麻痺薬を持ち歩くのは、常識ですよ?」
「常識な訳あるかよ。大の男が泡吹いて倒れるって
どんだけ強力な薬持ってたんだよ。」
「ですがまぁ……相手が悪かったですね?」
「はぁはぁ。そう…………か。
私達が負けたのか。……何故最初に薬を使わなかった?」
「まず、二人の体力を削る必要がありました。
最初にやってしまうと躱されます。
近寄らないと駄目ですから。」
「なるほど……罠に嵌められたのは私達の方
だった訳だ。」
そう言って加寿美亜音は、ゆっくりと目を閉じて
こう言い放った。
「私達の……完敗だよ。」
「貴方達は、勝っていましたよ。
薬がなければ貴方方の勝利でした。」
「言い訳なんてみっともない真似はしないよ。
だけど……とても楽しめたよ。
君達は、私と真剣勝負をしてくれた。
その瞳に宿るのは、どんな手を使ってでも勝つと
言う強い意思、私にはそんな真似出来ない。
完敗だ。また………機会があれば君達の慕う真田魁斗君とも会話を楽しみたい所だね。」
「あんたに合わせるつもりは、ねえよ!」
「それには不服では、ありますが同意です。」
「はは。随分と嫌われたもんだね。」
「もう行きますね。」
「あぁ、頑張るといい。君達の意思の強さには
期待してるよ。今川恵梨香は、体育館で待っている。」
「そうですか、恵梨香ちゃんが。
絶対に阻止します。」
「当たり前だ!」
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