31話 荒巻姉妹VSヒロインズ+実質ヒロイン?1

「困ったわね。まさか、先手を打たれるなんてね」

隣にいる少女、白石紅玉が苦笑を浮かべた。


「弱いよ、よわよわ!

姉様姉様!こいつら弱っちいの♪」

そう言った少女の足元には………河野隆太郎が

倒れていた。


数十分前………………


写真部の前には、見覚えのある少女が居た。


「白石さんも写真部を選んだのね?」

私が後から声をかけると肩をビクッと震わせ

こっちを見た。


「……貴方も写真部なのね。

でも、写真部が一番危険だと判断したのは、

私だけでは、なかったようね。」


「そのようですね。

どうやって中に入りますか?」


「そうね。いきなり喧嘩を売っても仕方ないし、

話し合いで解決出来るならそちらの方が望ましいわね。」

二人で写真部の扉の前で話し合っていた時、急に

声をかけられた。


「君達が私達の相手かな?」


「姉様姉様!女が二人居るです♪」

赤髪の女と青髪の女がニヤニヤと私達を見て

更にこう言った。


「話し合いは、無用、学園の庭に来ると良い。」


「急に何なのかしら?」


「おいおい、惚けるなよ?

私達が知らないとでも?」


「あたち達が知らないとでも?」


「そう。既に勘付かれていたのね。」


「さあ……庭に来な。

最後の戦いと行こうか?」



そして今に至る…………


「何故、河野さんを狙ったのですか?」


「ん?邪魔を消すのは、当たり前だろ?

なあ、詩杏?」


「当たり前!当たり前!」


「そう、それでやるのね?」


「ふぅ、やるしかないでしょう。

少なくとも向こうは、やる気よ?

本気の殴り合いをね。」


「はん。こっちは、殴り合い何てする気ないけれどね。」


「そうですね………行きます!」

ダッ

地面を思いっ切り蹴り駆け出した。

南雲が先に詩杏を狙って拳を構えた。


「来る?来る?来るぅ!

姉様姉様!あたちが行ってくりゅう!!!」


「あぁ、気を付けるんだよ?」


「うんうん!」


「ドカッ、私の拳を受け止めた?」

私の振るった拳が片手で受け止められた。


「そ〜れぇ!」

受け止めた右手をそのまま引っ張り

南雲のお腹を蹴り飛ばした。


「ガハッ!うぅ…」

諸に一撃をくらい地面に蹲ってしまう。


「おいおい?

スタンガンを振り回すなんてお行儀が悪いよ?」


「殴り合いにお行儀何て要らないでしょう?」


「はは。確かにね、けどそれは、殴り合い

じゃないだろ?」


「ガシ、んなっ」

振り回していた左手を掴まれそのまま、変な方向に

腕を拗られ痛みでスタンガンを落としてしまう。

そして、変な方向に曲げられたまま地面に

叩きつけられる。


「があっ。……う……でが。」


「はぁ……期待外れも良いところだね?」


「うん!うん!」


「舐めないで下さい!」


「おや?まだ立つんだね?

何度やっても私達の勝利は、揺るがないけどね♪」


「揺るがない!揺るがない!」


「舐めないで下さい!

うぉぉぉ!!!!!」

蹲っていた南雲がもう一度立ち上がり

地面を蹴ってまた、詩杏に向かって突進した。


「おいおい、突進だって?

アハハハ。単調すぎるよ?

それで、誰が負けんのさ。」


「うん!うん!返り討ち〜」

突撃してくる南雲に対し詩杏は、冷静に避ける

動作を取りつつ拳を構える。


バサッ

「あう。目が……なにこれ?

い……痛いぃ。」


「唐辛子ですよ?」


「とう……がらし?」


「唐辛子を持参したのか?

最初からそのつもりで。」


「そうよ。一度使えば2回目を警戒するでしょ?」


「だが、唐辛子位で戦況が有利に進むと思うなよ!」

詩杏の方に向かって走り出そうとした………

が…走れなかった。


「足が……河野!!

お前、まだ意識があったのか!」

隆太郎が這いつくばりながら緋色の足を両手で掴んだのだ。


「うぅ…目が痛くて開かないよぉ。

暗いのやだぁぁ!」


「くっ。詩杏!顔を水であら」

ガシ

「お前ぇぇ!」

緋色のお腹を抱くように紅玉ががっしり掴んだ。


「離せぇ!」

何度顔を殴られようが何度お腹を殴られようが

紅玉が離す事は、なかった。

それは、隆太郎も同じで顔を何度蹴られても

離さなかった。


「詩杏、顔を洗え!」


「うぅ、何も見えないの。

動けないよぉ。」

目を擦りながらその場で蹲る。


「これで、終わりにしましょう。」

南雲が蹲っている詩杏目掛けて拳を振るった。



荒巻姉妹side


最初は、余裕だと思って居た。

私達は、格闘技を習っていた。

素人に喧嘩で負ける事などありえない。

だが……今押されているのは、間違いなく私達。

唐辛子を持参していたなんて思ってなかった。

ずるい、卑怯何て言うつもりは、ない。

私達にもプライド位は、ある。

これは、喧嘩だ、格闘技の試合じゃあない。

何でもありだ、何を使うのも自由の戦い。

今回は、しっかり準備を怠らなかった彼女らの

勝利と言っていい。

だが、予想外なのは、唐辛子を持っていた事じゃない。こいつらがここまで、根性のある奴だなんて

思ってなかった。殴っても殴っても手を離さない。

だけど……何があろうと詩杏だけは、守る!


「詩杏!待ってろ!

今、お姉ちゃんが助けてやるから!」


「うぅ…姉様ぁ。」


「これでは、私達が悪役みたいね。」


「自分を正義だと思った事は、ないですよ。

ただ、魁斗様の害になる存在を排除する。」


「くっ。離せぇ!」



「皆、そこで何やってるのぉ?」












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