26話 モブと現悪役の遭遇と罠

夏休み前のテストが迫っている。

残念な事に勉強を頑張ったが自身は、ない。

まぁ、出来る事は、している筈だ!

これで赤点が回避出来ないならもう駄目かも知れない。

勉強会を神楽の家で行ったその後も時々

教えてもらっている。

白石に。連絡先を交換したものの自分からヒロインに関わる訳には、いかんだろ?

もう手遅れかも知れないが信じたくない。

これは、けして、現実逃避ではない!

ないからな!?

ただ、あの後白石からよく連絡が来る。

と言っても勉強で分からないことがあれば

何でも聞いていいからと言われただけだが。

なので勉強の話をよく最近は、白石としている。

他の奴はあかん。ネジが何本か多分ぶっ飛んでる。

一番癖が強そうな白石が一番まともに見える。

だが、勉強漬けの日々ももうすぐ終わりだぜ!今は、昼休み。一回休憩を挟んでもいいだろう。

そう思い席から立ち上がり廊下に出た。

そして、真っ直ぐ廊下を歩き続けて数分。

空き教室の前までやって来た。

俺の机の中には、手紙が入っていた。

コンコンと扉をノックしたが反応は、なし。

ガラガラと扉を開けると奥の机の上に足を組んで

不気味な笑みを浮かべた少女がそこに居た。


「お久しぶりですね?真田………魁斗君♪」

そう言ってニヤニヤしながら俺を見てきた。


「何の用だ?」

俺は、少し睨みつけながら聞いた。


「あははっ♪そんなに急がなくて良いでしょ?」


「悪いが俺は、暇じゃない。」


「そっかぁ♪でもぉ。

あんまり………調子に乗らないでね?」

笑顔で余裕のありそうな雰囲気だった今川恵梨香が

急に真顔になり俺に言って来た。


「魁斗君は、いつも私の計画を台無しにするね?」


「はん。お前の計画が脆かったんだろ?」

俺は、少し口角を上げて煽る様にそう言った。


「はぁ。真っ先に消すべきは貴方だった。」


「そうだな。お前の失敗は、計画が脆かったから

でも味方がヘマをしたからでもない。

俺を生かしたからだ」


「あはっ♪確かに〜。

ふぅ。………お前をまず学園から追い出してやる。

いつまで余裕を見せてられるかな?」


「どうすんだ、お前は、もう一人だが?」

何故か今川恵梨香は、俺との距離を縮め始めた。

そして、腕を掴まれ。

パシャ

「これで、貴方も終わり。」

掌を自らの胸に押し当てた。



「その、写真をばら撒くって事か。」

冷静に言っているが内心とても焦っていた。

俺は。そう。童貞なのだ。

女の子の胸なんて触った事がなかった。

だが、喜んでられないよな。迂闊だった。

意味もなく恵梨香が俺を人気のない場所に

呼ぶ訳がない。分かっていたのに何も出来なかった。恵梨香対策を考えるべきだった。

正直言って恵梨香に関しては、原作知識では

対処出来ない。情報が少な過ぎる。

だが、これだけは分かる。

こいつは、頭が切れる、強敵だ。


「ポチッ、後ぉ、これもついでに流しておくね?」

そう言って俺にスマホの画面を見せて来た。

「は?」

一瞬理解が出来なかった、固まってしまった。

数分は、たっただろうか?

まだ、俺は、頭の整理が出来ずにいた。

スマホの画面にはこう書いてあった。


「今川恵梨香を陰で虐めていた?」

なんと、驚く事にこいつは俺が恵梨香を虐めたと

周りに伝えていたのだ。

それ以外にも色んな女子生徒に嫌がらせをしていると書いてあった。

俺は、勘違いしていた。こいつの……

今川恵梨香の駒はまだあったのだ。

誰だ?まだ明かされていない。

姿を巧妙に隠している。

そして、その作戦を恵梨香が考えた。

これで、少なくとも俺の学校での居場所は、なくなった。どうする?早く手を打たないと。


「あーあ。これで終わっちゃったね?

意外と最後は、呆気ないね?

これで、周りの女も貴方を嫌いになるかもね?」


え、マジで?

それは………あり……なのでは?

でも、見下されたまま追放はナンセンスだよな。

そんなの……ラノベのなろうだけだ。

俺は、追放される前に思い知らせてやる。



何て言ったけどさ。普通に絶望的じゃね?

こっからどうやって持ち直すの?





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