私はばかだなぁ

第1話

私ってばかだなぁ。

友達から嬉しい報告があった。

ただ喜べば良かったのに。

私嬉しかったんだよ、ほんと。

その人の目って風景を　

とても美しくとらえる、魔法のレンズみたい。

それを見せてくれたんだ。

それだけ伝えたら良かったのに、

ちょっと自虐混じりで自分の話なんて

したのが間違い。

喜びに水差しちゃったかもなあって

後悔する。

ごめんね、忘れてね。

元気でいてね。

そう送ったけど、

ちょっと今「幸せの列」から外れたみたいな

気分なんだ。

スーパーでじっと順番を待つでしょう。

そんな時、

「ここにいる人と私は違うんだな」

そんな風に思ってじんわり涙ぐむ。

私はスーパーでよく冴えない顔してるし、

実際店員さんに心配されたことがある。

コンビニでもだ。

思い詰めやすい。

どうしようもないな。

友達がこんなこと言ったら

「幸せに列なんてないない、いちばーん前！」

私はそう言うと思う。

こと自分になると言えないや。

若い人も読んでくれてるかな。

47歳になっても友達のことで、

こんな風に悩んだりするよ。

また虫の声でも聞こうかなあって

窓を開けた。

今度は可愛らしい子猫でも来ないかなあ、

こんなこと考えてんだ。

幸せに列なんてありません。

いちばーん前！

庭先で夜空を流れる雲でも眺めよう。

ばか、ばか。

私のばぁーか。

見上げればお月様が半分。

まんまるじゃなくてもいいか。

そだな。