CATyapon! ―キャチャポン!ネコのガチャポンー
根古谷四郎人
アンモニャイト
1.カプセルは必ず家で開けて下さい。
2.最後まで面倒を見て下さい。
という、奇妙な注意書きがあるガシャポンを仕事帰りに見つけた。中身は猫のフィギュアらしかったので、動物好きの私は早速回し、家に帰ってカプセルを開けた。
すると、部屋にギリギリ納まるぐらいの巨大な茶色いふかふかしたものが出て来た。体を丸めて寝ている、茶トラの猫だった。猫好きの界隈でアンモニャイトと呼ばれているらしい。
だがどう見てもフィギュアじゃない。入っていた説明書を読んだら、やっぱりこの猫は本物だった。上に人を乗せて寝るのが好きな、アンモニャイトという品種らしい。起こさないかと心配しつつ登るとーふかふかの毛と生き物の体温、程よいリズムで上下するお腹、ASMR代わりの喉のゴロゴロ音。極上の寝心地だった。
アンモニャイトはよく食べ、よく遊ぶ猫だ。餌は普通の猫と同じだけど、量は三倍。オモチャも市販品では小さすぎるから、モップを猫じゃらし代わりにして遊んでやるととても喜ぶ。
そして、アンモニャイトはその大きさから抜け毛の量が尋常ではない。だが、私は掃除用品を作る会社に勤めてるので、これを活かして猫の毛をより綺麗に取れるお掃除グッズ開発をさせてもらった。協力のお礼にと会社の人達にモップで遊んでもらったり、上で寝てもらえて、アンモニャイトはご満悦。そのうち、私はアンモニャイトと一緒に出勤するようになった。この寝心地に夢中になったのは私だけではなかったらしい。
今では色んな人を上に乗せて昼寝を楽しむアンモニャイトだが、たまに私の上に乗りたがる。私の腹の上に顎を乗せて、ゴロゴロと満足げに喉を鳴らすのを見るたび、私は多幸感に浸りながら眠りに落ちるのである。
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