ほほづき 🩴

上月くるを

ほほづき 🩴



ピヨチュチュと鳥語さかんや秋の朝

網の目のほほづきカサと鳴きにけり


狭庭にも露草つひにお出ましに

あきうらら二十四色の水彩ペン


桃吹くや雀ほぐれてまたつどふ

鬼灯やゆづつてばかりすべり台


萩の風求人ビラをはためかす

その一歩踏み出しかねて竈馬


雲を置く刈田のわだち水のこゑ

ひつそりと萩の一花がわが標べ


売物件錆びし門扉に虫集く

冷やかや街の買取り専門店


背に腹をかへることあり西鶴忌

素うどんに花かつをのせ牧水忌


講釈も味の内かや走り蕎麦

鳩吹くや二階の窓に隣の子


色変へぬ松立つ月見やぐらかな

和菓子屋の古き玻璃戸や夕月夜


雨だれとおなじ呼吸の秋の夜

八朔の祝や真夜のストレッチ




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