セントエルモの火

ヒロロ✑

第1話 セントエルモの火

彼と別れて

出てきた副作用

セントエルモの火で消して


燃えすぎたのなら

それは人生の一部が燃えたのさ

思い出も

心も

大切なものが燃えてしまって

灰になったのは私の一部


彼と別れて

出てきた副作用

セントエルモの火で消して


灰かぶりの姫は

結局、ガラスの靴さえ叩き割った

残り五分の十二時前

私はドレスをワインで汚し

脇目も振らずに城を出た


モラトリアムな魔法の時間

叩き割ったガラスの靴の破片が心に刺さる

それでも一部が燃えた私の魂は

意地っ張りな虚勢を殺す


どうでもいいと嘘をつき

どうでもいいと弱音を吐き

どうでもいいとハンカチを裂く


つんざく雷鳴の明かりはどこか眩しくて

ひしめくほむらはどこか頼りなくて

それでも私は前を向き

一ミリでも行進する

死ぬために生きるのに

老いるために生きるのに

生きるために生きるだけさと

もう居ない彼に啖呵たんかを切る


彼と別れて

出てきた副作用

セントエルモの火で消して

セントエルモの火で消して

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セントエルモの火 ヒロロ✑ @yoshihana_myouzen

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