第1話 魔法少女とたたかうことになりました R+ry

放課後、友待つ午後4時45分、世界を変える声がする

「魔法少女に興味はあるかい?」

突然のその不思議な声に私は周りを見渡す。


「誰?」

私が今いる場所は生徒会室。

副会長として他の役員を待っている。

だが今の声はその誰でもない。

ドアが開いた音が無かったのでこの部屋に潜む誰かの仕業だ。


「魔法少女に興味はあるかい」

また聞こえる。

誰もいないように見えるこの部屋から。


「まずは君の顔を見せて欲しいな」

当然の要求だ。

すると空中に白い何かが広がる、広がる?染み込む?

液体のような不透明で形があって物理法則を無視した何か、何だ?

私の語彙力ではなんとも言い難い光景が目の前で起こる。


そしてある程度の大きさになった後、そこから1羽の鳥が出てきた。

まん丸でふわふわとしている可愛らしい鳥が。

「これでいいかな?」


指を噛む、痛みを感じる

夢だと信じたい気持ちと光景に対し現実を突きつけてくる。

「魔法少女になって何をすればいいの?」

受け入れるしか無い。

一歩踏み出すしか無い。

主導権を握られないように。


眼の前の白い鳥が喋る。

「侵略者から街を守ってくれ

力は可能な限り与えよう。」

その言葉とともに私は光に包まれる。

勝手がすぎる。


私の髪が伸び服装が変化する。

学校の地味な制服から女児向けアニメのようなピンク色のドレスに。

それと同時に頭の中に様々な情報が大量に入ってくる。

使える『魔法』と『魔法少女』のルール、『侵略者』について、その他諸々。

情報があまりにも多く頭が痛い。


発光が収まり変身の完了を確認する。

先程まで見えなかった部屋が視認出来るようになる。

白い鳥は消えていた。

代わりにノートが置いてある。

表紙には「後は全て頼むよ」とだけ書かれていた。


「何処に行きやがったあの野郎。」

そう思わず溢れてしまう。

直後、直感走る。

何かが来る、帰り道の途中に。

侵略者の襲来を告げるものらしい。頭の中に入ってきた情報の1つ。


「取り敢えず行ってみるか。うちの生徒が怪我するといけないし。」

部屋の窓から外へ出る。

周囲には誰もいない。

誰も私を見ない事を願いながら直感のする方へ向かう。

魔法少女には軽度な身体強化がある、『魔法少女』のルール。


試しに大きく力強く踏み出す。

するとたった1歩で学校のフェンスを横の道路を大きく飛び越えていた。

今いるのは道路の向こうの田んぼの中。

農家さんに申し訳ない気持ちとこれが軽度にしては強すぎないかという疑念が湧く。

そう思い、謝罪の言葉を口走りながら田んぼから出て、また走り出す。

1歩1歩が大きい。

それと同時に着地点を狙うのも難しい。

アニメのように飛べれば良いのだが、『魔法少女』の基礎能力には無いらしい。

ケチ、そう思いながら走る。


目的の場所近くまで到着するのに1分も掛からなかったと思う。

少なくとも両手で数えられる程の歩数ですぐ近くまで辿り着いたのは確かだ。

目的の場所は通学路の横に、田んぼの真ん中にある神社の中だ。

直感がそう告げている。


見晴らしが良い田んぼ道とはいえ神社は木々で囲われている。

最後の1歩、木々を避ける為に思い切ってジャンプする。


思ったより高く跳びすぎた。

上から確認する。

1人の女がいる、黒い制服に身を包んだ女。

近くには黒い小さな生物。

何かが壊された形跡はまだ無い。


そして着地と同時に考える。

おかしな点がいくつかある。

背丈的に高校生らしいがあの制服は見たことがない。

そして横にいる生物はアニメから出てきたような見た目。

何より一番の怪しさが剣を持っていること。


取り敢えず問いかける。

「お前が侵略者かぁ?」

さっきの白いやつに対する怒りを抱きながら。

何故かは分からないが、目の前の存在達にも同様に怒りが湧く。

私の『魔法』は感情の熱さがそのまま力になる。

ならば怒りを抱いたままでいい気がする。


ふと思い出す。

敵も魔法を使うことを。

不覚を取る前に行動を起こす。

「お前が侵略者だなぁ!?」

全力でパンチを喰らわす。

先手必勝。

相手は待てのジェスチャーをしていたが私の拳は止まらない。


相手の身体は文字通りバラバラになった。

黒い生物、兎らしい者が喋る。

「まずいね、これは撤退だ。」

その言葉とともに空中に水溜りが現れ、バラバラの身体が中に入っていった。


「やりすぎた。」

抵抗できなくさせてから話を聞こうとしたのに。

情報を得られずに逃げられてしたった。

少しの後悔の念を抱きながら周囲を確認する。

壊れたものは無い、再確認する。

色々と考慮しなければいけないことがある。


がその前に生徒会としての役割を果たすため学校に戻る。

戻りながら思慮を深める。

1人じゃ恐らく無理がくる。

いつかボロも出るだろう。

協力者が欲しい。

だがこの力は強すぎる。

誰彼と与えて良い力ではない。

人は選ばなければ。


そして学校に着く。

そして1つの答えが出る。

ならば信用できる生徒会のメンバーから協力を募ろうではないか。

生徒会室に到着し変身を解く。

まだ誰も来ていない。

彼らが来るまでにどう誘うか考える。


だがそんな時間は無かった。

扉が開く。

「おまたせ〜、やっぱり紅井あかいかぁ。」

「お待たせしてすみません、ルリ先輩。」

書紀の蒼井あおいと補佐の十六夜いざよいだ。


「そんなに待ってないよ。スイカ、モミジ。それよりも……」

誘う言葉が思い浮かばない。

仕方がないがアレの言葉を借りよう。

「魔法少女に興味はあるかい?」

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