最終話 エッチ後屋の爆裂
「くそォォッ!!」
自身の足や胴体にまつわりついた砂のツタをどうにかすることに
あまりにも大きくなった代償であろう、自転車にのって爆走してたら小さな虫が口に飛びこんできてウェッってなったときほどの違和感もなく、
それよりも、サメとなって手足を生やしたはいいものの、こうなると意外にうまくツタを振りはらえず、かといって口で噛み切ろうとしても届かない部分もあり、想定していなかった弱点が
「サメ神さま〈ひっぷ〉は、最強、究極の生物なんだ……」
自身を
「グルルルァァァッ!!」
そうして大怪獣の見た目にふさわしい
ついに、すべてのツタから解放されるにいたり、
「見たか、これが、これがサメ神さま〈ひっぷ〉の
と
「はてな……?」
と首をかしげていると、なにやら腹部の様子がおかしい。
ドンドコと、だれかが腹のなかで太鼓を叩いているような感じである。
その感触は、どんどん、秒を追うごとに大きく、強く、ふくらんでゆく……。
「ぐ、ぐ、ぐぎゃアアアア!!」
エッチ
一瞬にしてその腹部が風船のごとくふくらんだかと思うと、どんな立派な天守閣も
そこからさらにひとすじの光が天にのぼっていき、大輪の花と見まがうひとつの美しい花火があがる。
それはサメ神さまの絶命とひきかえにあがった、とむらいの送り火であった。
ひどく澄んだ空から吹いた風が、サメ神さまの大量の肉が飛び散ってよごれた砂浜をそっとなでた。
サメ肉のアンモニア臭が、空へ舞って、ふっとやわらぐ。
そう、
その
そう推測した
しかし、では、
あたり一帯に目をやってみても、サメと化したエッチ
あるいは、サメと人との見分けなどつかぬほどにズタズタとなったこの
いや、見よ。
少しはなれた海のなかから、抱き合ったふたりが顔を出したではないか!
そう、爆発までのあいだに体内を泳いで進み、その肛門からスポンと顔を出したふたりは、そのままジェット噴射のごとく海中へと吹き飛んでいったのだ!
濡れねずみとなりながら、ふたりはようよう砂浜へとあがる。
「かつてないほどの強敵でござった……」
「ありがとうございます、
「拙者も、おヒメどのには命を救われ申した。お互いさまでござる」
「
おヒメはうるんだ目もとをぬぐい、決意したように顔をあげる。
「
「うむ、たしかに。
「
ふたりはあらためて、ヒシと抱き合った。
サメ神さま〈ばすと〉の飛翔により、
あるいは知らぬほうが、なんのうしろ髪をひかれることなく旅立てることもあろう。
一方で
あのとき自分の頭に
もうちょっとプリンとした丸みを出しつつ、色も肌に
イヤがる相手が巻きこまれるのもいけない。しかしあるいは、好奇心
こうした着想をもとに、くるったように彼が絵筆を走らせ、エッチ
彼の死後、熱狂してその春画を残らず集めたひとりのコレクターが、文化の大火によってコレクションを抱いて焼死してしまい、その
忍者とひとりの
ふたりの足跡は長く、長くのびていったが、やがて波にさらわれ、消えていった。
〈完〉
忍者 vs サメ 七谷こへ @56and16
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます