第17話 忍者とエッチ後屋、魂の対話
ホームランのごとくかっ飛ばされていった巨大なサメを、おヒメは口をひらいて呆然と見送った。
まるでおとぎ話のような――いや、おとぎ話でも聞いたことないほど壮絶なる光景である。
村人などとうてい
「サメ神さま〈ばすと〉まで……。おめェが、ここまでやるとは思わなんだ……」
その声のほうへ目をやると、エッチ
「おぬしこそ、みごとな
「以前、とある里でちょいと修行してなァ……」
「それでここまでの練度にできるとすれば、その才は
「正しい道だァ? それでメシが喰えるんならいくらでもやってやるよ。しかし一度
「……それでこの村の者を利用してできるかぎり人を集めさせ、最終的にはこの村の人を、ものをすべて喰らいつくそうとしていたのでござるか?」
「そうか、おめェはいつからかおれたちン中にもぐりこんでいたんだったな……。そのとおりよ! おれたちは通りがかったすべてを喰らいつくす厄災。そうして富をたくわえ、そういうお店へ通って、きわめて合法的にエッチ行為を
「エッチ行為、だと……!?」
「そうだ。むろん、先方がイヤがることはせず、店の決まりを厳守することが大前提。そのうえでふけるエッチ行為は、そりゃもうたまらんぜぇ……? おめェ、
「どどどどどど童貞ちゃうわ」
「かんちがいすンな! おれァ童貞をバカにするような下劣な感性はしてねェ。しかし、まぐわい――交尾のすばらしさだけは説いておきたい。
そう誘いを受けた
そうしてふたたび――刀を構えてエッチ
「はじめては、好きな人と、したいなって……!」
それを聞き、さみしそうに、あるいは
「ふん、甘ちゃんが……。そンなら、好きになった相手は、ちゃんと自分から攻め落とすんだぞ。待ってるだけじゃァそんな機会は永遠におとずれやしねェ。かつ、誠実さを忘れるな。自分の気もちだけを考えるンじゃなく、相手への思いやりをもったうえで、くだけるまでぶちあたりやがれ」
そう話すエッチ
「それと、これだけは言っておく……。好きになった女と、いや女にかぎることはねェ。好きになった相手とするまぐわいは、そらァもう天にものぼる心地になれる。肉欲だけじゃねェ、心が、みたされるんだ。自分だけが気もちよくなるんじゃなく、いかに相手に気もちよくなってもらえるかを無心で模索し、愛をささやきあったはてに達することのできる境地が、たしかにある……。そのことを、忘れるンじゃねェぞ」
両者のあいだの緊張が高まってきたことが、戦いの場に身を置いたことのないおヒメにも強く感じられた。
おヒメはゴクリとつばを飲み、同時にちょっと思った。
こいつらなんの話をしてるんだろう、と……。
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