第16話 サメ神さま、空を飛んで悪を討つ
「サメ神さまァ、あのクソ野郎を喰らってやれェ!」
高速でつむがれるエッチ
すると、すさまじいスピードで海からサメが
いわば「サメ砲弾」ともいえそうな超重量のその攻撃を、
が、ズバリと裂くことのできたサメ神さま〈うえすと〉とは違い、その鮫肌はおそろしく硬度を増している。
かろうじて皮膚が裂ける程度の傷をつけることがやっとであった。
「はっはァ! あンときのように行くと思うなよッ!」
エッチ
陸上のサメが海と同じようなスピードで迫ってくるとは想像だにできず、意表を突かれた
「くっ、速い……!」
「
「おヒメどの、少々手荒くなりますので、離れていてくだされ! 人のいないここならば……」
そうつぶやいたのち、
「臨兵闘者皆陣列在前――」
と呪文を口のなかでとなえる。
そうしているあいだにも、海へと戻ったサメがぐるりと泳いでふたたびその照準を
「死ねェ、そしてサメ神さまの栄養豊富なエサとなれ、忍者野郎ッ!!」
エッチ
そしてその
「忍法・
その名のごとく、
「シャ、シャァァァァァク!」
サメは空中で炎につつまれ、いかにも苦しげな悲鳴をあげた。
「忍法・
そう唱えるとともに、サメの真下の地面から天までとどこうかという竜巻が立ちのぼってきた!
サメはぐるぐると風に巻かれ、身をズタズタに裂かれ、あらぬ方角へと吹き飛ばされていく。
「シャァァァァァク……」
どこか哀愁のただようその
そこでは、
「やれやれ、おヒメをさし出してなんとかなったわい」
「いつ捨てようかと迷っておったが、ごくつぶしもこんなふうに役立つことがあるもんじゃなぁ」
「ひぃ、ひぃ、あの野郎、今度、いつか、殺してやる……」
と、
「しかしこれからどうしようかのぅ」
「じいさま、ご心配めされるな。おヒメの存在で巧妙に
「なんと、さすが、できる
炎につつまれたサメ神さま〈ばすと〉が乱入したのは、このときである。
また、炎がおのれの身を取り巻くためにサメはもはや状況がわからなくなっており、混乱のままにゲス
そのほか、おヒメを連れ出すのにニヤニヤしながら協力した村の男衆も下敷きとなり、やがてサメ神さま〈ばすと〉は絶命したものの、みごとに
「サメ神さまの
と生き残った村人はおそれ、深々と祈りをささげた。
以後、この村では年に一度「わるい子はサメ神さまが喰らっちまうぞ!」と村人がサメに
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