第6話 何も知らぬ村人がつどい、祭りがはじまる
これまでの事実を整理すると、エッチ
が、夜もだいぶふけていたし、ふるえるおヒメに「ほかの村の者におそわれたらと思うと」と懇願され、やむなくひと晩泊めてもらうこととなったのだ。
「横になる必要はござらん」
といい、せんべい布団をしこうとしているおヒメを
敵の奇襲を防ぐため、習慣になっているのだという。
「やっぱり忍者……」
「いや武家ならね!? 武家ならあの、このぐらいの用心は、してしかるべきでござってニンニン……」
「ニンニンって言った!! 忍者以外にニンニンっていうわけない!!」
「いや忍者がニンニンっていうのかはそれはそれでちょっと真偽不明っていうか……」
などわちゃわちゃと話しているうちにいつかふたりは眠り、朝となっていた。
朝になってあらためて去ろうとする
しかしおヒメは、
「ねっ、
「祭り!? 祭りでござるか、ううむ……」
と
ここだけの話ではあるが――
現代とはちがい、祭りは数少ない娯楽のひとつであり、それゆえに人々の祭りへかける想いも段ちがいであった。
しかも、実は
「うむ、うううむ」
と、「拙者、祭りにうつつを抜かすような軽薄なヤカラではござらんけど?」と言いたげに腕を組んでうなりつつも、すでにその肉体はDNAに刻まれた盆踊りのリズムを刻みはじめていた。
「ふふ、
おヒメは
明るいところであらためて見るおヒメは、なるほど田舎娘らしい
実際、祭りは盛況であった。
気難しげに参加を即断しなかった
なに、「当時にそんなものがあるか」「時代考証はしたのか」だと?
ええいうるさい忍者とサメが戦う話になにを求めておるのだ。
ソウルで感じろソウルで。
や、見よ。
砂浜に立てられたやぐらで、ひとりの男が太鼓を音高く鳴らしたではないか!
「いよ~おっ!!」
近隣の村からも集まった人々は、ひとたび太鼓が鳴るや、わらわらとやぐらの周囲に輪をえがきはじめる。
「サぁメがぁ~、出た出~たぁ、サメがぁ~出たぁ~」
太鼓のとなりに立った別の男が、
この村に伝わる
まわりで踊る人々も、心から楽しげで、日々の
はじめ、それはごくごくありふれた、
しかし、やがてどこからか、常ならぬ雰囲気がにおい立ってきたのである――
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