F♪♫♬♯P ~フォルテシシモからピアニシシモ~

のこのこさん

第1話 チュートリアル

夏が終わり秋の兆しが見え始めた昨今、私は音ゲーにハマっていた。

プレイヤーネームはSGK


ホームゲーセンには上手いプレイヤーが多い。中にはランカーや配信をする方もかなりいる。


そんな中でも凄腕の女性が一際目立つ


彼女の名前はプレイヤーネーム 37E


僕がメインでやっている鼓動マニアDXで皆伝の腕前をもつ超上級者だ。


ある日の事、鼓動マニアが激混みで、とても待っていられない列だった。


仕方がなくサブでやっているドラムフリークスをプレイすることにした。


クレジットを入れてゲームを始める。

するといつもと違う「Session」の文字が。


隣の台を見るとギターマニアで「しまった」という顔をした37Eさんがそこにはいた。


※説明しよう!

このギターマニア&ドラムフリークスはクレジットを入れた後にキャンセルしないと自動的にSessionプレイが成立し2人プレイを余儀なくされるのだ


とっさに僕が「すみません!気付かずセッションになっちゃいました。どうしましょう?」と話しかけた。


すると彼女は「せっかくですし一緒にやりましょう」と意外な答えが返って来た。


僕は内心「やった」と嬉しくなってしまった。


ゲームが始まり1曲目。

僕は「どうぞ先に選んで下さい」と促した。

彼女が選んだ曲は

「月光蛾」

あちき氏によるヴィジュアルロックナンバーだ。

難易度は中難易度。

OKサインを送り演奏が始まる。


---------♪♫♬♯---------


ドラムはハイハットを刻ませながら大胆なフィルを叩かせる心地よい譜面

ギターはオルタネイトピッキングを学ぶには基礎的な要素が多い譜面


お互い1切りのS判定

僕が「お上手ですね」と言うと同時に

彼女も「お上手ですね」と話してきて

声が同時に重なった。


思わず目があった


彼女がクスクス笑いだした

僕もなんだか笑ってしまった


今思えば、この瞬間に僕らは音ゲー友達になったんだ。


続く2曲目

自分は「変態観測」を選んだ

有名版権の曲だ。


---------♪♫♬♯---------


さすがに優しい譜面である。

これは2人ともフルコンボだ。


次いで彼女は「Joyeuse in blue」を選んだ。

これは超高難易度で私には実力的に無理な曲だった

やむなく譜面ランクを落とし黄難易度でプレイ

よく見ると彼女も黄でプレイをしていた。


私はA評価、彼女はS評価だった

プログレッシブというジャンルの為不規則なリズムを強要され、さらに上位の譜面は人体構造を無視しているとすら思える譜面をやらされる。。


すると


「ワンモアステージ!」


と隠しステージが現れた。


2人して「おぉ〜〜」とか言ってしまう(笑)


曲名は「シャム猫メタル」

お互い頑張ろうと意志疎通し、青難易度ながらパーフェクト率98%でクリアした。すると


「ラスボスアピアー!」


と隠しボス曲が登場


曲名は「Day Dream Nightmare」

わかってはいましたが、あまりの難しさに途中閉店してしまった。


プレーを終えると彼女から話しかけてきた「SGKさんお上手ですね」


正直嬉しかった、

ニコニコしている彼女はとても可愛かった。

「いやいや37Eさんこそ凄いです」


その後は休憩スペースのベンチに座って30分ほど音ゲー談義に花が咲いた。


彼女が「いけなーい!門限までに帰らなきゃ」と慌てだした。

彼女の家はここから2駅先らしい。


一瞬戸惑ったが僕は言葉を発していた


「あの良かったら車で送っていきましょうか?」


次の瞬間僕は「しまった」と思った。まるで下心ありありじゃないか!


すると彼女は「え?い、いいんですか?」と返答した。


僕は「ももも、勿論です」と即座に返した。


僕の車は軽で勿論オーディオは音ゲーのサントラが数多ぶちこまれている。


助手席の彼女は好きな曲をリクエストしてきた。微笑ましい。


ドラギタの

・イジワルなツミ子

・Say~termination…


兎猫ミュージックの

・半透明なネイル

・スカーレットローズ

・恋のChâteraisé


舞踏舞踏Evolutionの

・never snow

・meteo star


そうか切ない曲とか好きなんだな。


曲を流しているうちに彼女の家の近くに着いた。


「ここでいいです。ありがとうございます」


彼女はお礼を言ったあと運転席の方に回ってきて


「これ私のLuin ID」


って渡してきた。


手を振る彼女。


僕はその場を後にした



自宅までの帰路、なんだか嬉しくて堪らなかった。


これから一緒にゲーセンで遊べる仲間が増えた事が嬉しかった


涼しくなり始めた秋の空が高くなり、そして穏やかにそよいでいた。


第1話 完    次回へつづく


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