第13話 魔法の練習:②

 さてと、何をしようかな? 


 ポイントが貯まったからレベルアップをしてみたいが、身体に異変が起きて体調不良になったり、気絶するのはマズイから、まずはストックしてある魔力を使った魔法の練習をしましょうかね。


 エアロビマスターのメニュー画面をスクロールして生活魔法の項目を見ると、クリーン・ライト・ウォーター・ファイヤ・ヒールか。


 クリーン:身体や服などを清潔にする

 ライト:灯りで照らす

 ウォーター:コップ1杯程度の飲料水を出す

 ファイヤ:焚き木に着火する

 ヒール:軽度の擦り傷や切り傷を治す


 メニュー画面に表示された説明を見ながら、生活魔法を使ってみるか。


 クリーンは試したから、ライトからだな。


 なんとなくの雰囲気で右手を前に出して「ライト」と言ってみた。


 なんとなくほんわりと部屋が明るくなったかな。


 そのままトイレに行ってドアを閉めると、まぁまぁ明るいか。夜中にトイレに行くときは使えるな。


 そのまま、便座を上げて「ウォーター」と言うと、便器の中にポタポタと水がしたたり落ちた。


 ふむふむ、いつでも飲みたいときに水が出せるか。


 水の匂いをいでからペロッとめてみると、いわゆる無味無臭だな。ちょいと塩味がするのは手のひらから出た汗か。


「ファイヤ」と言うと、ポッと小さな火が手のひらから10㌢くらい先に出た。


 熱くは無いな。種火というところか。


 さて、最後のヒールだが、擦り傷も切り傷も無いから今はいいかな。


 生活魔法は分かったから、初級の土魔法・水魔法・風魔法を試したい。


 メニュー画面の土魔法を見ると、土の玉アースボールが初歩の土魔法ということだ。


 アースボールか、濁点だくてんが無いと、アースホール……、アスホール……。


 プププププ、アス尻のホールアナ……、ダメだ。コレは笑っちゃうよ。


 アナ……、穴……、そうだ! 


 ポスト◎ットを貼り付けてふさいだ監視者がのぞいていた穴があるから、アレに土の玉をミッチリと詰め込んで塞いでみるか。


 エアロビマスターのバトルモードは継続させているから、バトル領域を広げて壁の向こうからこちらの様子をうかがっている者がいないか確かめたが、誰もいないな。


 じゃあ、やってみようー!


 最初にポス◎イットを貼り付けた穴に近づいて両手を当てて「アースボール」と言って、小さな土の玉が穴の中にできるイメージでストックしてある魔力を流してみた。


 ズンズンと魔力を流していくと、壁の穴にミチミチミチッと土の玉が詰まっていってポ◎トイットが盛り上がってきた。


 指で軽く押しても固いし、穴が塞がったようだ。


 よーし、もう一つの壁の穴にも土の玉を詰め込んでみよう。


 両手を当ててストックしてある魔力を込めていくと、またミチミチミチッと土の玉が詰まっていく感覚がして◎ストイットが盛り上がってきた。


 よし! イメージしたとおりうまくいくな。


 さて、問題は天井の穴に土の玉をどうやって詰め込むかだな。


 壁際に置いてある机を動かして穴の下に持ってきて、椅子を乗せてその上に立ってみると、もうちょっとで天井に手が届きそうだ。


 そのまま両手を高く上げて「アースボール」と言いながら、穴が土の玉でふさがるイメージで魔力を流すと、なんとなくうまくいってる感覚がした。


 そのまま魔力を流していると、貼り付けたポストイッ◎が盛り上がってきた。


 直接は触れないけれど、穴は土の玉で塞げたようだ。


 ずーっと両手を高く上げていたから軽く肩がってきた。


 椅子から下りて机を壁際に戻そうとしたが、床が汚れているな。


 両手を汚れに向けて「クリーン」と言うと、床はキレイになった。


 机と椅子を元の位置に戻し、凝った肩を両手でさすりながら「ヒール」と言うと、なんとなく凝りが取れて肩が軽くなった。


 へー、魔法って不思議だけど便利なもんなんだな。

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