歴代最弱な魔王ちゃんの史上最強な召喚獣ちゃん!!

枝豆コーヒーサラダ

女の子になってる!?


その年、魔王が崩御した。

後継ぎがいなかったため各種族の話し合いが行われ新しい魔王を決めることになったのだが…一向に話がまとまらず内乱になってしまった。

そんな殺伐とした世界に転生した元男のお話


「う~ん よく寝た…って、ここどこ?」


昨日までは、パソコンの前で、仕事をしていたはずなのだが……気が付いたら青い湖が目の前に広がっている。

えっと…これ、夢だよね。

私は、ほっぺをつねる。


「いててて」


しっかりと痛いどうやら、これは現実らしい

それにしても、冷たい風が吹きつけているな…いや、これ……肌に直接当たってる!?

おそるおそる下を見て、自分の状態を確認して、そこでようやく気がづいた。


「女の子になってる!?しかも、裸なんですけど!?」


私は、反射的に近くの湖面をのぞき込んだ。

そこに映っていたのは…

透き通った白い肌、

きりっとした青いひとみ

ふわふわで、まるでシルクみたいな銀髪

そして少し長い耳……

いや、これって完全に

ファンタジーな世界のモンスターじゃん!?


 そして、お腹のあたりには、

魔法陣みたいなタトゥーが刻まれていて

何か強そう…だけど、正直言って…


「……ダサい」


 てか、問題はそこじゃない!

私、今、全裸なんだけど!!??

慌てて茂みにダイブする。とにかく誰かに見られたら終わりだ。

……まぁ、見渡す限り森だし、そう誰かに見られるわけもないのだが……


なぜこうなってしまった想いだそう…

確か、同期が活躍して、出世する中、私は出世レースから外され、ひたすら資料整理ばかり…でも!

『少しでも活躍して出世したい!』その一心で、頑張って、頑張ったら、過労で倒れしまい、そのまま、ぽっくり死んじゃったんだ。


あまりにも悲しい死に方だったのか神様の計らいでに転生することになったのだが……こんなファンタジーなモンスター娘に生まれ変わるとは思わないじゃん!


でも神様曰く、こんな可愛らしい見た目だけど、どうやら最強種族の末裔らしく、代々最強の魔獣を召喚できるらしいけど……肝心の召喚のやり方を神様は教えてくれなかった。

召喚できないなら意味ないんじゃないかな、

なんて考えていると

風がようしゃなく肌に当たってくる。


「やばい…おなかが冷えてきた…」


私は、おもむろにお腹をさする。


すると突然、お腹からまがまがしい黒い煙が、もくもくとあたりを包み始めた。


「えっ、なにこれ!?気持ち悪っ!」

私は、とっさに煙を振り払ったけど、余計に広がる。


 あれ、もしかしてこれが、召喚ってやつ!?

召喚方法がお腹をさすっただけだけどなんか召喚っぽことが始まったんですけど……まぁ何やともあれ、最強の召喚獣が現れるかも!?


 そして、地面には、中二心をくすぐられる魔法陣が2重3重に出現して、無数の光が降り注いだ。


「いったい何が始まるの!?」

 

私は、ただその魔法陣を見つめながら、息をのむことしかできなかった。


その光の中心に、うっすらと人影が見える。


そして、現れたのは…少女⁉


そこには、

くるっとしたアホ毛が、チャーミングな金髪ツインテール美少女が自身の満ちた表情で露出度の高い、チャイナドレスのまま現れ

、背中には、小さな羽根がぴょこんと生えている。どう見ても人間じゃない。

たぶん、ファンタジーなモンスターだろう。そして、彼女の胸元には…… 豊かなメロンサイズの胸が、しっかりと主張している。


「フゥーハハハ!!久しぶりに召喚されたぞ!!童を召喚した不届き物は誰だ!っておい裸じゃないか!?」


 いかにも元気系ヒロインのような、少女が徐々に顔を赤らめて、その場で硬直している指の間から、ちらちらと、こちらの様子をうかがっている。


 私は、というと自分の置かれている状態に改めてきずかされ、涙目になりながら、小動物のように小刻みに震えていた。


「いったい何者!?それにここはどこなの!?あとなんで私、裸なの!?」


「知るわけないだろう!!とりあえず童のパンツを貸すから話はそこからじゃ」


そう言うなり、彼女はためらいなくスカートに手をかける。


「ちょっと待って⁉それはダメ!!」


 ただでさえ情けない姿を見せてしまったのに、あろうことか美少女のパンツを借りるなんて、そんなことは到底できるはずがない!!


「何を怖がっておるお主と童は女の子。何が問題があるのか?」


「いや倫理的に問題あるでしょ!?」


「そうか? それより、お主が裸でいるほうがよっぽど問題だろう!!」


「うっ…それは……何も言えない……」


「わかった、そんなに嫌ならちょっと待ってろ!」


そう言うと彼女は自分の服を破る。

チャイナドレスの丈が、ハーフパンツぐらいの丈の短さになり、太ももがガッツリ見えている。しかしそんなことを忘れてしまうほどに、器用な手つきで、あっという間にさらしを作ってくれた。


「すごい……あなたって、器用なんだね」


「そうか? これくらい普通だと思うが…できたぞ!ちょっとそこでじっとしておれ!」


少女は、さらしを広げ、私の肩にそっとかけてくる。 だが、胸が小さすぎて、さらしがズレてしまう。


「……お主、もう少し膨らんでおれば、巻きやすいのだが」


「うるさい!それは言わないで!」


「すまんすまん!でも動くなよ!ズレてしまうからな!」


少女は、冗談を交えながらも丁寧に巻いてくれる。キツすぎずゆるすぎないほどの絶妙な加減だったので、着心地が気持ち良かった。


「……できた。次はスカートじゃ」


残りの布切れで、スカートを作り腰に巻き付けてくれる。

少し獣っぽい匂いがするけど……中はほんのりあったかい。

こうして、さらしと簡易スカートをあっという間に仕立ててくれた。


「ありがとう!!……ところで、あなたは、どちら様?」


「そこからか…緋色の終末兵器スカーレット・バーサーカーっていえばわかるだろう」


「えっ、誰?」


では、有名人だろうけど、まったく、そのすごさが、わからない…

少女は、目を丸して、唖然とした顔になっている。私の拍子抜けな回答に動揺しているのだろう。


「まじか…この名を聞いたら、みんな恐れ、ひれ伏すのに…」


「そんなかっこいい愛称じゃなくて、あなたの本当の名前を教えて!」


「童の名前か…童は、アリス…」


「アリス?いい名前ね!」


アリスは、自分の名前を呼ばれた言葉うれしかったのか、顔を赤らめている。そんな彼女の姿が、可愛いらしく、眺めているとアリスが話の流れを変えるように


「ところでお主、童を召喚して何の用だ?」


「召喚…?私は、ただお腹をさすっただけだけど…」


「なに!?」


どうやら私は、無自覚に美少女を召喚してしまったようだ。



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