書くと、闇に犯される ──時代と戦う全ての創作者へ!
ジュン・ガリアーノ
キャラは作者を殺し、そして救う
──闇落ちしてました──
ここ二週間くらい。
体感ではもっと長かったかもしれません。
もちろん会社では、いつも通り明るく元気に振る舞っていました。
暗い顔は周囲に迷惑だから。
それに新規事業部の立ち上げ中だし、マジでやるしかなかった。
けれど、それは『仕事だから出来た』だけで、一人になった途端、心は空っぽで動けなくなりました。
本当はみんなの小説も読みにいきたいし、感想も書きたい。
完成途中のブログも仕上げたいし、自分の小説だって進めたい気持ちはある。
でも心に“スカ”が入ったみたいで、どうしても起動できない。
端から見れば元気でも、心は”故障”していた──そんな感覚でした。
なぜか?
真実の物語を書いたからです。
──書くことは旅──
自分にとって『小説を書く』とは旅です。
物語を通じて”追体験”すること。
逆に読むこともまた同じ。
どちらにも“作者の心”を感じます。
物語が追体験しやすく(読みやすく)、飾りが少ない(感情が溢れてる)ほど、それは強い。
だからこそ、皆さんの作品を読むと楽しかったり切なかったりして心が震えます。
嘘が苦手なので、忖度や誇張はありません。
感想に書かせてもらっている通りです。
そんな俺ですが、今書いているラブコメ?が、とんでもないことになってしまいました。
書いてるうちに、キャラが”真実”という冷酷な牙を剥け、俺の心を切り裂いてきたんです。
──闇を連れてきた編集者──
今書いているラブコメ、
『センパイの小説は読みません♪ ~可愛い後輩の未読スルーが、恋と出版業界をざわめかす~』 https://kakuyomu.jp/works/16818792436771352361
は、前半と後半でまるで色が違います。
前半:Kさんとの楽しいやり取り。
後半:編集者との苛烈な攻防。
前半を書いてる時は、ただ楽しかった。
Kさんとの”読む読まない勝負”という楽しいやり取りをしながら、
──これに隠されてる”本当の意味”は、みんなも流石になかなか気づけないだろーな。ニャハハッ♪
なんて、思って書いてたから。
けれど後半、この物語の編集者である”神崎”が、自分の分身である主人公に突きつけてきたんです。
──書籍化に、作者の想いや魂など不要。流行りとテンプレこそが鍵です。
──今の読者は熱い話や重い話は読みません。求められてるのは溺愛や成上り、スローライフのみ。
──感動のポイントが違う以上、あなたの物語は残念ながら、時代遅れです。
自分のキャラが告げてきた冷酷な言葉に、心が静かに侵食されていきました。
極論だと分かっていても、一面の絶対的真実でもあるから。
作者である自分がそう感じた以上、神崎を否定できず、物語の中でも主人公は一度敗北しました。
これは物語のテーマを浮き彫りにする為に、元々どうしても必要であると同時に、俺自身、本気で神崎に勝てなかったのが一番の理由。
もう正直、どうしていいか分かりませんでした。
当初の構想としてここまではありましたし、それを超えていくフィナーレは想定していましたが、どうしてもその先が書けなかったんです。
神崎から告げられた言葉に、心を犯されてしまったから。
この敗北は、書く自分自身に突き刺さりました。
──もう無理だ。書けない。やっぱり俺には無理なんだ。結局、何も届きはしない……
そう思った瞬間、心が闇に覆われたんです。
ちなみに、あなたはどうですか?
書いても書いてもPV0だったり、最高だと思った回に何にも感想が来なかった、いや⋯⋯こない日々が続いた時は。
胸がダルいというか、ずっと晴れない暗雲の下にいるような気分になったりしませんか?
あれと近しい、胸の虚無的な苦しさです。
そもそも、自分の分身である主人公が敗北。
もう”旅”なんて出来る訳がない。
書くことで、自分自分の心が犯されるなんて思っていなかった。
だけど、それでも無理やりカクヨム開いて、でもやっぱ閉じて⋯⋯けどまた開いて、無理やり前に進んだ時、わけの分からないことが起きたんです。
──救ってくれたのはヒロインのKさんだった──
無理やり前へ進もうとしたとき予想外な動きをしたのは主人公ではなく、ヒロインのKさん。
Kさんが神崎と向き合い、彼女”らしい”笑みを浮かべて告げていったんです。
──作家の声も魂の声も聞かないなら⋯⋯
──そしてあなたは、自分に嘘をついただけじゃなく⋯⋯
書いてて震えました。
目を疑うような神展開で、Kさんが物語をひっくり返したから。
そして、その瞬間に気づいたんです。
主人公だけでなく、Kさんもまた自分の分身だったことを。
──ありがとう⋯⋯!
ま、Kさんは、かしこで可愛い女の子なんで、俺とは似ても似つきませんけど w
ともあれ、彼女が光を差し込んでくれたおかげで、闇に沈んだ心は再び息を吹き返しました。
しかし同時に、Kさんが展開を進めすぎて物語が一気に終わりかけるという事態に。
──ヤバっ。このままじゃ本来のフィナーレに辿り着かんし、他のキャラの物語を回収出来んぞ。
なので頑張って調整した上、濃度は数話にバラけさせました。
それでも、よくて後10話で完結です(多分)。
また、Kさんが最初からずっと主人公の小説を、
──ニヒヒッ♡ わたしジュンさんの小説、ぜーったいに読みませんから♪
と言ってきてる”理由”も、後3話で明かされます。
──それでも闇は続く──
ようやく修理されてきた心。
けれどクライマックスに至るまでには、まだ深い闇が待っています。
あるキャラの過去を思い描いたとき、自分は泣きました。
──こんなことがあったら、誰だってそうなるに決まってる……。避けられるわけねぇだろ! 本当は、小説が大好きなんだから⋯⋯!
そいつの過去は、時代の逆風と戦う“全ての作家”の姿そのものなんです。
だからこそ、そこを書けばまた闇に呑まれるかもしれない。
でも書きます。
エタったら、裏切ることになってしまうから。
応援してくれてる読者の人たちを。
ちなみに、この作品の恋愛濃度は、ラブコメ以上恋愛未満かもしれません。
──あなたも、きっと──
書くことは楽しさだけじゃない。
恐ろしさも伴います。
本気で心を込めれば込めるほど、その牙に自分自身が傷つく。
この作品を書き、俺はそれを知りました。
だけど、分かってます。
それは、きっとあなただって同じだってことを。
魂を込めた作品が評価されず、テンプレや流行りだけがもてはやされる──悔しくて、虚しくて、もう嫌だと、全部投げ出したくなる。
──くそっ! いくら思い込めて書いても、意味なんか⋯⋯ねぇよ! ありゃしねぇ!!
そんな想いに囚われること、ありますよね。
でも、信じてほしいんです。
たとえバズらなくても、救いはあります。
読者の方々からの感想はもちろん大きな支えですが、もしそれがなくても大丈夫。
自分が本気で生み出したキャラクターが、必ず支えてくれるから。
最後まで自分の作品と向き合っていくことで、その”旅”の最後に、あなた自身、きっと救われる。
少なくとも、俺はそう信じてます。
自身の絶望にキャラが光が射し、救ってくれたこの事実があるから──!
──闇を超えるために──
それでも無理だと思い、書くのをやめたくなる気持ちは分かります。
けれど、敢えて言います。
本当に”もう無理”なんでしょうか?
例えば、
改行は丁寧にしていますか?
語尾が単調に並んでいませんか?
難しい漢字に頼っていませんか?
キャラのセリフは“らしい”ですか?
心理描写や情景は胸を張れますか?
1話が長すぎていませんか?
まあ、この辺りは個性の範疇かもしれませんが、なにより、
キャラとあなた自身、いっぱいお話してますか?
振り返れば、まだ改善できる余地は必ずあるはずですし、自分もまだまだ全然出来てません。
過去作を読むと恥ずかしくなることもしばしば。
──あはぁ、なんて書き方だよ。でも、こん時は最高の出来だと思ってたんだよな⋯⋯。
と、想いを馳せながら読む時もありますので。
これ、あなたもありませんか?
もしあるなら、きっと成長してる証です。
それに書き方はどうあれ、あなたが本気で書いた作品には、その時の想いがこめられてるハズ。
まるでタイムカプセルのように。
だから──めげてる暇はない。
流行りがなんだよ。
テンプレがそこまで偉いのか。
”向こう”が神崎のように、そうだと言ってくるなら上等。
あなたの想いと魂をどこまでも込め、作品を至高の領域まで高めてぶち抜いてやりましょう!
もちろんたまには息抜きもしつつ、どこまでも楽しみながら。
そう、Kさん風に言えば⋯⋯
「よしっ、たまには息抜きしましょう♡ じゃ、その前に、まずは息してくださいね♪」
「おいっ w」
という感じですが、闇に堕ちそうな──堕ちた心を本当に救えるのは、あなた自身です。
当然、俺もこれからまた読んで応援に伺わせていただきますし、自作もブログも頑張ります!
遅くなりすいません。
闇堕ちしてもうダメかと思いましたが、もう一度、いや、何度でも気持ちを燃やして戦って、一緒に勝ちにいきます!
ここまで読んでくださり、ありがとうございました。
今日も、いつも、皆さまがいてくれることに感謝してます。
最期に一言。
──あなたは、小説が好きですか?
書くと、闇に犯される ──時代と戦う全ての創作者へ! ジュン・ガリアーノ @jun1002351
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