③真面目な人は損をする、でも変われない

 よくネットや実社会で、「真面目な人は損をする」という言葉を聞いたことがあると思う。なければ少し検索して見ると、記事が湧いて出てくる。


 これは確かに合っていると感じる今日この頃だ。やはり仕事や勉強をする上で真面目な人と、そうではない人の待遇はあまり変化していない。しかしこれだけではよく分からないと思うので、かみ砕いていきたい。



 まず、真面目な人とはどういう人なのか。何より、手が抜けないというのが大きいだろう。仕事でも勉強でもだ。


 また、心が優しい人が多い。どのような言い方をすれば相手が傷つかないのかを普段から考えている。


 また、ルールをしっかり守る。子どものころから習ってきた当たり前のルールを決して破る事は無い。


 以上がよくある特徴だが、これらに共通するのは人の目を気にしているということである。人に怒られないように、不快にさせないように日々を過ごしている。


 そのほとんどは徒労に終わることも多い。これが損をしてしまう一番の理由だと思う。


 残念ながら、俺もここに入る。


 信号の斜め横断はしたことが無いし、授業中に居眠りをしたこともない。課題は全力でやるし、うるさいときは静かにした方が良いんじゃないかとアドバイスorオドオドする。


 ボウリング場で自分のグループがうるさくなったときに、周りに悪いから声小さくしよとついいつもの癖で言ってしまったときはさすがにヤバいと思った。(声を出していい場所なのにもかかわらずだ)


 一方で、真面目ではない人。一言では表せず、さまざまなタイプがいる。


 まずは要領が良いタイプ。自分のすべきことを理解していて、手を抜けるところは抜く。このタイプが一番成功しやすい。


 次に、サボるタイプ。この中でも要領が良い人とそうでない人がいるのだが、どちらにせよ共通するのは自分本位ということだ。つまり他人に対するストレスが無い。


 最後に適当に皆に合わせるタイプ。その場に応じた空気を察知する能力が高く、周囲の環境によって自分を変えることが出来る。これを無理せずできる人が、いわゆる真面目ではないタイプだろう。異論は認める。



 そして、同じ仕事あるいは同じ授業を行った際に、同じ成績になることは多々ある。努力量は圧倒的に真面目な人の方が多いにもかかわらずだ。


 なぜだろうか、この理由として最も説得力があるのは、努力が相手に伝わらないことだろう。いやいやノスケ待ってくれ、努力が伝わることもあるじゃないか。その場合はなぜ損をするかと言うと、真面目すぎる性格が嫌われるからだ。


 真面目な人は完璧であろうとする。よって分からないところは聞くか自分で学ぶし、自分の業務はミスなくこなす。


 え、じゃあいいじゃないか。俺が問題提起した理由は2つある。1つはこれを好きでやっていないというところ。もう1つはシンプルにその性格が嫌われるということだ。俺はどちらも経験しているので、順を追って説明していこう。


 1つ目について、好きでやっていないというのは真面目な人なら8割くらいは共感できると思う。


 真面目は好きでそうなったわけではないことがほとんどだ。基本的には人に怒られたくなかったり、失望させたくなかったりで無理をした人たちの結果だ。


 これを理解できていない人が多い。実際その人の人生を追体験できるわけではないので仕方ないことなのだが、これを前提として理解してほしい。


 理由はさまざまだが、基本的には人間関係が大きい。これがどうなるかというと、自分をさらけ出すことが出来ないだけではなく日々の暮らし全てが重荷となってのしかかるのだ。


 少し人と話すのも、少し仕事をするのも、通常の倍以上の負荷がかかる。もちろんその重りは人から見えない。場合によっては自分でも見えていない可能性がある。そういう人はいつか限界が来る。終わった後に気づいてももう遅い。


 反対に、真面目であることを褒められそういう自分を好きになった人もいる。


 もちろん真面目であることは人間関係に起因する場合がほとんどなのだが、その真面目という状態を他者から肯定されることによって自信がつくタイプが2割ほどいると推測している。


 成績が良くて褒められたらうれしいのと同じだ。その場合は仕事も真面目であることを取柄にして頑張ることが出来る。


 しかし思い出してほしい。そうであっても、仕事量と評価は他者と比べて見合っていないということを。


 2つ目について、真面目な人は嫌われることがある。ノリが悪い、うざいなどさまざまだが、どれも傷つく。


 完璧にやろうとするため嫌われることと、他の日との行動を抑制して嫌われることの2つがある。そのどちらも、真面目には悪意が無いので自然と人がフェードアウトしていく。マジで意味分からん。


 真面目であることが損であるということが分かっても、基本的にそこから自分の性格を直すことは出来ない。それは自分が自分でなくなるということだから。


 やろうと思ってもできないこともほとんどだ。だって不真面目になる経験を全てシャットアウトしてきたのだから。



 じゃあどうすればいいのか、ここからは俺が考える真面目な人の生き方を提案する。もし今悩んでいる人がいたら参考にして欲しい。この悩みは正直、何歳でも起こりうると思う。


 まず1つ目は、真面目でも良い仕事に就くことだ。警察、消防など。これらは真面目であることが絶対条件になるとも言える。


 しかし、だからと言って今からなろうとはならないだろう。元々目指している人なら心配ないが、他にやりたいことがある人や既に仕事に就いている人には不可能に近い。


 こういった職業は副業も出来ないことが多いので、特に先ほど述べた無理して真面目を作っている人には苦痛でしかないだろう。


 次に2つ目、これは反論なのだが、肩の力を抜こうという言葉をよく聞く。それが出来ないから聞いているのに、何でそんな無責任な返答をするのかと思ってしまう。


 出来る人はやったらいい。ただ、もしそれができるならやっている人が多いだろう。ここまで読み進めてくれた人は悩んでいる節があるのだと思う。そのような単純明快な答えでは満足できないかもしれない。


 これは完全な批判ではなく、選択肢としては有効なものなので出来る人は是非チャレンジしてもらいたい。


 3つ目、真面目であるまま成功する。は?と思われる人もいるかもしれない。真面目の中でも、ずば抜けた真面目は一目置かれることが多い。


 真面目にやっている分、結果は出やすいとも言える。他の人がサボったりしている分を、努力量でカバーできるからだ。


 真に要領が良い人にはかなわないかもしれないが、そんな人はそうそういない。あなたが思っているよりも人間の精神は弱い。安心してチャレンジできる。


 しかし、体力的に続かないことも多いだろう。何か違和感を感じたら、すぐに引き返すことをお勧めする。それを無視して進んでしまうと、場合によっては戻って来られなくなるよ。


 4つ目、真面目な人とつるむ。これは人間関係においてだが、真面目な人が悩むこととして自分はやってるのに相手はやってくれなくて虚しくなるということがある。


 相手も真面目なら、そのリスクは無いし絡みやすいだろう。もしかしたらお互いに緊張がほぐれて、若干真面目で気張っている状態から抜け出せるかもしれない。それができたら理想だろう。


 ただ、1点気を付けてほしいのは真面目の程度は人によって異なるということだ。


 自分よりも真面目な人は世の中にたくさんいる。不真面目に見えるけど本人としては真面目というケースもある。


 そこだけは気をつけないと、逆にお互いストレスが溜まってしまうだろう。


 ラスト5つ目、諦めて真面目な自分を好きになるor癒す。おいというツッコミが聞こえそうだが、今までの4つが出来ない時点で多分君は一生真面目なままだ。


 真面目は悪いことではないという話はよく聞くので、真面目をカバーする同等の癒しが大事であると感じる。


 それは人によって異なるが、ゲームやペット、DIYなどだ。本当に信頼のおける恋人や友人がいれば、ストレスなく過ごすことも可能かもしれないが。


 1人で居れば、真面目であるダメージは低減される。特に趣味であればそこまで気を遣うことも無いだろう。


 第一真面目に趣味をやったところで誰も何も言わないし、自分だけのための行動なので人を考える必要がない。


 自分を好きになるのは難しいかもしれないが、1人でいる状況を作り出すのは可能だと思う。そこでどれだけ自分を癒せるかの勝負だ。


 会社や学校でマイナスなことがあっても、それを上回るほどのプラスを家で1人で生み出すことが出来れば、今日を生きて良かったと思えるのではないだろうか。



 長々と話したが、こんなところだ。真面目は悪いことじゃないと分かっていても、現実問題損をすることは事実だ。


 それに対しては色々な対処法があるし、少しでもできることから始めて行けばいいと思う。無理やり変えるのではなく、自分のできる範囲で。


 今日学んだことをこれからコツコツやろうと考えているのであれば、それはもうすでに真面目になってしまっているので気を付けたまえ。

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ノスケの病みエッセイ ノスケ @nosukenoshousetu

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